アフリカ携帯電話市場の覇者、中国「TRANSSION」が好調 出荷台数1億7400万台

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海外事業に重点を置く中国の携帯電話メーカー「TRANSSION(伝音控股)」がこのほど2020年の通期決算を公表した。売上高は377億9200万元(約6400億円)で前年同期比49.1%の成長となり、出荷台数は全世界で1億7400万台に上った。特に攻勢を強めるアフリカ市場でのシェアは50%を超えている。

2006年に設立された同社がアフリカ市場に参入したのは2008年。2014年には携帯電話メーカーとして世界上位に食い込み、2016年には中東、東南アジア地域へ進出。2020年、同社が展開する「TECNO」はサムスンを超えてアフリカ最大の携帯電話ブランドとなった。

中国企業として早期に海外進出した同社は、飽和状態に見えた携帯電話市場に風穴を開けた。成功の要因は新興市場向けにローカライズしたブランドと事業戦略だ。

アフリカ進出

世界のスマートフォン市場は需要が一巡し成長は鈍化している。ただ、新興市場においてはフィーチャーフォン、スマートフォンいずれの普及率にもまだ成長の余地があると言える。経済成長の不均衡という制約を受けるアフリカの通信インフラは整備が進んでおらず、移動体通信事業者の業界団体「GSMアソシエーション(GSMA)」によると、2019年までの通信規格3G以上のカバー率は75%程度だったという。

そこで同社はフィーチャーフォンとスマートフォンの両方を販売。消費レベルからターゲットを分類し3種類のブランドを展開した。同社の上場目論見書によると、2019年上半期に販売した「Infinix」「TECNO」「itel」のスマートフォンブランドの価格はそれぞれ579元(約1万円)、487元(約8300円)、300元(約5100円)程度。TECNOとitelはフィーチャーフォンも販売し、価格はそれぞれ78元(約1300円)と55元(約900円)程度だった。

ローカライズ戦略や低価格といった戦略が功を奏し、2020年上半期、同社がアフリカ市場において占めるスマートフォンとフィーチャーフォンのシェアはそれぞれ41%と67%に達した。ライバルであるサムスンは同地域でスマートフォンのシェアが19%、ファーウェイは同10%、OPPO、シャオミは同5%だった。同地域のフィーチャーフォン市場のライバルでノキアブランドを運営するHMD Globalのシェアは9%だったという。

アフリカ以外の地域へ

TRANSSIONはアフリカ以外の地域でも攻勢を強めている。統計によると、南アジア市場のパキスタン、バングラデシュでのスマートフォンシェアは1位、インドでのフィーチャーフォンシェアは6位だという。

さらに2020年、アジアなどの地域における売上高成長率はアフリカを超え、前年同期比で1.6倍成長し145億元(約2500億円)に達している。ただ、同社の稼ぎ頭はやはりアフリカで、粗利率は30%台と高い水準を維持している。

同社はこの他にもデジタルアクセサリーブランド「Oraimo」を展開し、ウェアラブルデバイス、オーディオ、カーアクセサリーなどを30以上の国と地域に販売している。

市場調査会社「IDC」のまとめでは、2020年同社の世界携帯電話市場のシェアは10.6%となり、世界第4位の携帯電話メーカーにまで上り詰めている。また通期決算によると、同社が研究開発に投入した金額は11億5800万元(約200億円)で、研究開発人員は1900人を超えた。従業員の12.7%が研究開発を担う人材だという。

研究開発人材の多さは、TRANSSIONが今後独自の技術開発を進め世界シェア拡大に向けさらなる体制の強化に取り組む意向を反映している。
(翻訳:Qiunai)

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