グラファイト大手の「中国石墨集団」が香港上場申請 EVなどからの需要増で快進撃

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グラファイト大手の「中国石墨集団」が香港上場申請 EVなどからの需要増で快進撃

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香港証券取引所が公表した情報によると、6月1日、グラファイトを扱う鉱業企業の「中国石墨集団(China Graphite Group)」が目論見書を提出し、メインボードでの上場を申請した。保薦人(主幹事に相当)は「力高企業融資有限公司(Lego Corporate Finance Limited)」、監査法人はpwcだ。

中国石墨集団はどのような企業か、以下その概要を見てみたい。

主力業務と業績

目論見書によると、2006年創業の中国石墨集団は株主の趙亮氏が100%の株式を保有している。主力業務は未加工のグラファイトの鱗状黒鉛精鉱や球状黒鉛への加工、販売である。

同社は2019年に黒龍江省にある北山鉱山の採掘権を取得し、自社の加工用にグラファイトを採掘している。外部レポートによると、北山鉱山のグラファイトの概測資源量は約1万4000キロトン、予測資源量は約1000キロトン。2020年12月31日時点での同鉱山の寿命は21年と予測されている。

主力業務以外では、加工の副産物である微細黒鉛粉末、高純度黒鉛粉末の販売や、大理石原石の販売でも収益を上げている。

2019年の時点で、中国石墨集団は中国の鱗状黒鉛精鉱の売り上げ第5位であり、シェアは約2.9%だ。球状黒鉛の売り上げは第6位で、シェアは同じく約2.9%だ。

2018年〜2020年にかけて、同社の年間売上高はそれぞれ1.2億元(約20億円)、1.24億元(約21億円)、1.69億元(約29億円)で、純利益は2576.5万元(約4.4億円)、2454.9万元(約4.2億円)、3785.9万元(約6.4億円)、粗利益は5300万元(約9億円)、5940万元(約10億円)、8320万元(約14億円)だった。

展望と課題

グラファイトは軍事産業やハイテク産業に欠かせない重要な原材料であり、中国は世界最大のグラファイト産出国である。

2019年の中国のグラファイト生産量は125万トンで、世界全体の74.6%を占める。輸出量は28.89万トンで、世界の総輸出量の52.7%を占め、こちらもトップだ。

コンサルティング会社の米フロスト&サリバンによると、2017年の中国本土での天然グラファイトの生産量は、約62.5万トンだったが、2019年には約70万トンに増えた。今後は年平均5.4%の速さで成長を続け、2025年には約108万トンに達すると見込まれる。

生産量が増え続けることの背景に、需要が急増する新エネルギー車の動力電池や、電気炉製鋼にグラファイトが必要となることが挙げられる。また、グラファイトは耐火材料や潤滑油にも使われ、これらの需要も伸びている。

グラファイトは成長が期待される産業であり、中国は最大の供給国だ。そのなかで中国石墨は業界トップクラスの実力を誇り、しかも鉱山から加工品の販売までのサプライチェーンを自社で運営する数少ない企業である。そのため、同社の展望は明るいといえる。

しかし、経営面での課題にも注意が必要だ。まず挙げられるのが、特定の取引先への依存度が高いことである。2018〜2020年にかけて、販売先上位5社に対する同社の売上高の合計は7810万元(約13.3億円)、7780万元(約13.2億円)、9960万元(約17億円)であり、全体に占める割合は65.1%、62.9%、59%である。そのうち最大の販売先に対する売上高は、上記3年間でそれぞれ全体の38.8%、37.9%、37.9%を占める。

原料の調達先に対する依存度も同様に高い。上記3年間の調達先上位5社からの調達額はそれぞれ全体の73.1%、69.2%、63.8%を占め、最大の調達先が全体の30.1%、36.1%、34.7%を占めた。

次に、北山鉱山がグラファイトを安定的に産出し続けることができるかどうかも注意が必要
である。2019年、2020年度において、北山鉱山で採掘したグラファイトは、中国石墨集団のグラファイト使用量の60%と52.7%を占めた。この鉱山になんらかのトラブルが発生した場合、同社が生産体制を維持できなくなるリスクがある。

原作者:格隆匯新股(WeChat ID:ipopress)

(翻訳・小六)

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