「マンション」or「戸建て」どっちが売れやすい? 住み替え時のマイホーム売却のポイント

マイホームの購入は「一生に一度の大きな買い物」とも言われますが、ライフステージや暮らし方・働き方などの変化にあわせて売却、新たに購入してその時々で最適な家に住み替えていく人も増えています。スムーズな売却は、住み替えの重要なポイントの一つ。そこで、プロの目から見た売れやすい不動産の特徴や売却の秘訣を、ARUHI住み替えコンシェルジュでアドバイザーを務める高田一洋さんに教えていただきました。

マンションと戸建て、どちらが売れやすい?

売れやすいのは戸建て? マンション?
売れやすいのは戸建て? マンション?(画像素材:PIXTA)

適切な価格でスムーズに売却することは、住み替え成功の一つのカギです。マイホームの売却と言っても、マンションと戸建てでは、売れやすさに違いはあるのでしょうか。

「まず始めに、マンション・戸建てに関わらず、不動産は基本的に『駅から近いこと』がアドバンテージとなります。駅から同じ距離でマンションか戸建てか、となれば戸建てが人気でしょう。しかし、駅近の不動産と言えば圧倒的にマンションが多い。さらに、マンションは1棟当たりの戸数が多いため流通量も豊富で、駅近を希望してマンションで探している人も多いので売買市場が動きやすいのです。そのため、必然的に戸建てよりマンションの方が売れやすいと言えます」(高田さん)

売れやすいマンションの特徴は?

高田さんは長く不動産業界に従事しており、様々な不動産売買に携わってきました。数多くの不動産売買の現場を見てきた不動産のプロの目線で、売れやすいマンション・戸建てそれぞれの特徴を伺いました。

売れやすいマンションの特徴から見ていきましょう。

売れやすいマンションの特徴
売れるマンションはどんなマンション?(画像素材:PIXTA)

駅徒歩10分以内

不動産はやはり駅からの距離が最も重要な要素。マンションでは駅徒歩10分圏内が強いそうです。

「リモートワークが浸透してきたとは言え職住近接のニーズは変わっておらず、『時間を買う』という感覚が浸透してきているように思います。首都圏では駅前にある駐輪場の空きが数年待ちになっているところも多く、バスは時間が読めないため、駅までのアクセスは徒歩を希望する人がとても多いです。勤務先の最寄駅から電車で少し離れた街になっても、駅から自宅までの距離は近くして時間短縮をしたいと考える人も多いですね」(高田さん)

築年数10年以内

不動産も新しいものが人気。築10年が過ぎると設備やインテリアも少し古びて見えてくることもあり、見た目がまだ衰えていない築10年以内が売れやすいとのこと。

「築10年を過ぎると、築10年以内と比べて売却価格がガクッと下がる傾向があります。今住み替えをしようか迷っていて、ちょうど築10年くらいになるという人は、動き出す良いタイミングです」(高田さん)

広さは55平方メートル、できれば2LDK

55平方メートルは夫婦、もしくは夫婦+子ども一人でちょうど良い広さ。初めてのマイホーム購入で物件探しをしている世代や、離婚した単身ミドル世代、子どもの独立後や定年退職後のシニア世代など、様々な世代のニーズにフィットします。また、2LDKは「3LDKもいらない、1LDKはちょっと狭い」と、探す人も多い間取りながら流通が少ない、という人気の間取りでもあるそう。

「55平方メートルの最大のポイントは、登記簿面積上は50平方メートル以上になるため住宅ローン控除を受けられるということです。2021年の改正で住宅ローン控除の面積条件が緩和され、40平方メートルから対象になりました。ではなぜ55平方メートルがポイントなのかと言うと、消費税事業者ではない個人が売主の中古不動産を購入する場合は面積条件の緩和の対象になっておらず、登記簿面積が50平方メートル以上でないと住宅ローン控除を受けることができないのです。

多くの人は住宅ローンを組んで購入しますので、個人が売主の中古不動産であっても住宅ローン控除の対象となり、程よい広さ、様々な世代のニーズがあるこの広さは売れますね。これまで挙げてきたポイントをおさえると、間違いなく売れるのは『55平方メートル・2LDK、駅徒歩7分以内、築浅』の物件と言えます。初めて購入する人にもおすすめしている物件です」(高田さん)

売れやすい戸建ての特徴は?

次に、売れやすい戸建ての特徴を見ていきましょう。

売れやすい戸建ての特徴
戸建ては築何年くらいまでが売れやすい?(画像素材:PIXTA)

駅徒歩20分圏内

駅周辺に少ない戸建ては、駅徒歩20分圏内が売れやすいそう。

「20分は徒歩圏表示ができる、という点がポイントです」(高田さん)

築10年以内、築年数が浅ければ浅いほど良い

築年数はマンションと同じく築10年以内ではありますが、同じ築10年でもマンションに比べて戸建ての方がより古びて見えがちだそう。

「マンションは管理組合で定期的にメンテナンスを行いますが、戸建てでは所有者個人がメンテナンスを行わなければなりません。しっかりと実施している人は少ないでしょう。マンションと戸建てでは外壁材や設備が違うことも、マンションと比べてより古びて見えてしまう理由の一つかもしれません」(高田さん)

戸建ての場合は、「古くなると売れづらいので、早めに売った方が良い」と高田さんは話します。

「戸建ては築12年目くらいで、外壁や屋根の大規模修繕が必要になります。例えば築10年過ぎの物件を検討しているとして、購入したら2~3年後には修繕費でまた数百万円かかるわけです。購入者にとってはマイナスポイントになります。築年数が経っていて、まったくメンテナンスしていない戸建ては、売る時に価値が下がってしまいます。戸建てで住み替えるなら、築年数が経たないうちに早めに検討するのがおすすめです」(高田さん)

マンションも戸建ても「見た目」は重要

マンションも戸建ても、売れやすい特徴は「駅からの距離」や「築年数」がポイントでしたが、もう一つ、購入者が重視するポイントがあります。

「駅からの距離や築年数はもちろん、購入者にとっては見た目も大事なポイントです。立地や築年数は変えられませんが、見た目の汚れや古さなどはクリーニングやリフォーム等で解消することができます。少し手を入れたほうが良いかどうか、不動産会社と相談してみると良いでしょう」(高田さん)

プロが教える不動産売却のポイント

住み替えでは「不動産を売却するのは初めて」という人も多いでしょう。マイホームの住み替えを滞りなく行うためには、スムーズな売却と信頼できる不動産会社の存在が欠かせません。不動産売却を成功させる秘訣を教えてもらいました。

空室にしてから売る

資金的に可能であれば、先に新しい物件を購入して引っ越した後に、元のマイホームの売却を始めると売れやすくなるそう。

空室にしてから売る
内見では扉の建付けや細かな使い心地を気兼ねなく確認したいもの(画像素材:PIXTA)

「売却後に購入する住み替えの場合、売却する物件を住んでいる状態で内見してもらうことになります。内見にかかる時間はだいたい15分程度。購入者は細かなところまで思うようには見られません。また、住んでいる状態が荷物だらけだったり散らかっていたりすると、家に問題はなくても良くない印象を与える可能性も。空室の状態で見ていただくのが一番理想的です」(高田さん)

不動産会社は「売却活動」+「実績」をチェック

マイホームの売却活動を行うのは不動産会社。不動産の売却には、物件の魅力をきちんと伝えて購入意欲がわくような、売るための活動や工夫が重要です。

「不動産は『イメージを買う』と言われます。ここでどんな暮らしがかなうのかをイメージしやすくして、しっかりと魅力を伝えることが大切です。例えば、空室でも照明やカーテンを入れてあげることで、住むイメージが湧くものです。そこに少しの家具を入れれば、さらに具体的にイメージすることができます」(高田さん)

不動産会社は「売却活動」+「実績」をチェック
家具やカーテンがあると、生活イメージがわきやすくなる(画像素材:PIXTA)

プロが物件写真や動画を撮影したり、家具を入れてモデルルームのように整える「ホームステージング」を行ったり、少しリフォームを入れたりなど、有料のものもありますが会社ごとに様々な売るための工夫をしています。

「しっかりと物件の魅力を伝える売却活動をしている不動産会社にお願いすると良いです。どんな風に売ってくれるのか、売るためにどんなことをしてくれるのか、聞いてみるとよいでしょう」(高田さん)

会社や担当者の実績も大事なポイントです。

「エリアのことを詳しく知っているか、そのエリアでの販売実績が豊富かどうかなども確認してみましょう。色々と聞いてみて、信頼してお願いできる会社・人であるかを見極めてください」(高田さん)

信頼できる不動産会社・担当者を紹介してもらう

「一番安心なのは、紹介ですね」と高田さん。身近な人など周りで住み替えをした人がいれば、信頼できる担当者を紹介してもらうと良いでしょう。

まとめ

マイホームが売れやすい築年数に差し掛かっているのであれば、住み替えの行動を起こす良いタイミングかもしれません。ARUHI住み替えコンシェルジュでは、何から始めていいか分からない、住み替えの住宅ローンについて教えてほしい、などの相談や、住み替えに関する様々なサポートを行っています。無料の住み替えセミナーも開催しているので、まずは気軽に参加してみてはいかがでしょうか。

【詳しくはこちら】ARUHI住み替えコンシェルジュ3つの特徴、セミナー講座情報

【取材・監修】
不動産アドバイザー
高田 一洋氏
数々の資格を保有する不動産コンサルタント。
保有資格は宅地建物取引士/管理業務主任者/賃貸不動産経営管理士/2級FP技能士/住宅ローンアドバイザー/ほか多数
住宅用・投資用不動産の売買に10年以上携わり、3千件以上 の実績で培ったノウハウ、金融知識で住み替えをバックアップ。自身も3度の住み替えを経験し、実体験に沿ったアドバイスやサポートをしてくれる。

※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合がありますので、それぞれのホームページなどで最新情報の確認をお願いします。
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