長崎くんち、今年の演し物を発表 七つの踊町が10年ぶり奉納

榧場勇太
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 長崎伝統芸能振興会は11日、今年の長崎くんち(10月7~9日)の踊町と演し物を発表した。新型コロナなどの影響で3年間中止となったため、今年の踊町は10年ぶりの奉納となる。今年の「幹事町」を務める五嶋町のくんち協賛会の中村重敏さん(77)は「3年間の中止期間中に亡くなったり、出られなくなったりした人の思いを背負って立派な奉納をしたい」と意気込んだ。

 今年の踊町と演し物は次の通り。

 八幡町「山伏道中(やまぶしどうちゅう)、剣舞、弓矢八幡祝い船」▽麹屋町「川船」▽銀屋町「鯱太鼓(しゃちだいこ)」▽西浜町「龍船(じゃぶね)、二胡演奏」▽興善町「本踊(石橋(しゃっきょう))」▽万才町「本踊」▽五嶋町「龍踊(じゃおどり)」。各町、傘鉾(かさぼこ)も奉納。

 長崎くんちの見どころの一つは各町が工夫を凝らした鮮やかな衣装。しかし、物価高の影響で着物の価格も高騰し、担当者は頭を悩ませている。

 「衣装代が怖くて計算できない」。今年の踊町、麹屋町で衣装を担当する鈴木寝具店の店主、鈴木富士雄さん(78)はため息をつく。7年に1度の奉納にあわせて、色やデザインを考えて仕立ててきた。男性用の着物は10年前は1着約8万円だったが「今年は倍近くになるかもしれない。伝統を守っていくのも簡単ではない」と話す。

 長崎市内でくんちの衣装を長年手がける業者によると、原油価格の高騰を受け、生地や染料の価格が3割ほど値上がりしているという。仕立てや染色の職人には新型コロナの影響で廃業した人も多く、納期も延びており「来年以降の踊町からも問い合わせが来ている」と話した。(榧場勇太)

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