住民6人犠牲の山崩れから6年 耶馬渓で慰霊 備えの大切さ再認識

貞松慎二郎
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 大分県中津市耶馬渓町金吉で住民6人が亡くなった大規模な山崩れの発生から、11日で6年を迎えた。遺族や市幹部、地域住民ら約30人が発生現場を訪れ、慰霊碑の前で犠牲者を追悼した。市内の中津文化会館で防災講演会もあり、防災士ら約90人が災害に備える大切さを再認識した。

 山崩れは2018年4月11日午前3時40分ごろに発生。山あいにある集落の裏山が幅約160メートル、水平距離約220メートルにわたって崩れ落ち、住宅4棟が土砂にのみこまれた。21歳~90歳の6人の命が奪われ、さらに復旧工事中の滑落事故で1人が亡くなった。

 現地に大雨や地震の発生はなく、突然の崩落だった。県の検討委員会は原因について、斜面の地層に地下水が入り込んで地滑りを起こしたと結論づけた。

 市は4月11日を「中津市の防災を考える日」と定め、毎年、防災意識の向上に取り組んできた。今年も朝、遺族らが犠牲者の名前が刻まれた崩落現場の慰霊碑に花を手向け、手を合わせた。

 市長職務代理者の前田良猛副市長は「二度とこのような災害で犠牲となる方が出ることのないよう、市民と一緒になって防災・減災対策に取り組んでいくことを誓う」と述べた。

 母と弟を亡くした市社会福祉協議会事務局長の岩下一行さん(55)は、3月に七回忌の法要を済ませた。「時が経つのは早いなと感じる。自然災害は避けられないけれど、風化だけはしてほしくない」と話した。

 11日午後からの防災講演会では、陸上自衛隊OBで熊本県の初代危機管理防災企画監、有浦隆さん(66)が講師を務めた。熊本地震の際に指揮を執った経験を踏まえて「災害は忘れる暇なくやってくる」と警鐘を鳴らし、「予防や事前準備に勝る対策なし」との信念を強調。女性や子どもの目線を忘れずに、持ち出す日用品をセットで準備しておくよう呼びかけた。貞松慎二郎

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