井上ひさしさんの故郷で吉里吉里忌

大谷秀幸
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 2010年4月に亡くなった作家・劇作家の故井上ひさしさんをしのぶ文学忌「吉里吉里忌(きりきりき)」が14日、故郷の山形県川西町であった。ゆかりのあるジャズピアニストの小曽根真さんと俳優の神野三鈴さん夫妻が井上さんの思い出を語った。

 会場の町フレンドリープラザには600人余りが集まった。小曽根さんと井上さんには、03年に県内で開かれた国民文化祭の開会式で、井上さんがプロデュースし、小曽根さんが作曲、指揮したピアノ協奏曲「もがみ」が披露された縁がある。

 小曽根さんは00年ごろに井上さんから依頼を受けた時、「書けません」、指揮も「無理です」と断ったが、「イエスと言うまで帰りませんから」と言われて最終的に引き受けた。「信頼していただいていることで、自分でそこに向かっていく余白をつくって下さる」と話した。

 神野さんは井上さんの「こまつ座」の芝居に参加。最初、けいこ場に行ったら台本はできておらず、「大俳優たちと同じ土俵で戦うしかなかった」と振り返った。「役者として先生と出会わなかったら、ないものがいっぱいあるのでは」と話した。

 会場では、小曽根さんのピアノ演奏や神野さんの朗読もあった。(大谷秀幸)

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