「高知丸高」会長に科学技術賞 新工法確立で災害復旧貢献評価

羽賀和紀
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 今年度の「科学技術分野の文部科学大臣表彰」の科学技術賞に、建設会社「高知丸高(まるたか)」(高知市)の高野広茂会長(87)が選ばれた。安全で低コストな新工法の開発で災害復旧などに貢献したことが評価された。

 高野会長は運送会社勤務を経て、1967年に高知丸高運輸(当時)を設立。「難工事に挑戦する」を社是とし、橋やダムなどの土木工事を取り扱っている。2015年に代表取締役会長に就任した。

 同社の転機は97年。日本最長のアーチ橋「広島空港大橋」(広島県三原市)の建設工事で、始めに橋脚となる杭を打ち込むのではなく橋の上部を前へと伸ばしてから杭を打ち込む、従来とは逆の手順による工法を確立。勾配の急な斜面でも安全に杭を打つことができ、工期を短縮できたと評価された。

 英語で「安全・品質・挑戦」の頭文字から「SqCピア工法」と名付けて関連特許を取得。従来工法と比べ工期は半分程度に、コストも4割ほど削減できた。災害復旧現場での活用のほか、パキスタンの山岳地帯での幹線道路工事にも採用されたという。

 「会社を成長させるためには、人がやらないことを考え、新しい技術に挑戦する必要があった」と高野会長は振り返る。

 これまでに64件もの特許を出願。発注元のゼネコンの現場責任者にも臆せず意見してきた。

 会長になった現在も、「アイデアは現場にある」と現場に通い続ける。「コストを安く、早く橋を架けることで、これからも橋を必要としている地域の人の要望に応えていきたい」と話す。

 同表彰は、科学技術に関する研究開発などで顕著な成果を収めた人をたたえ、科学技術の水準向上に寄与するのが目的。表彰式は17日に都内で開かれる。(羽賀和紀)

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