宿泊税導入「できるだけ速やかに」 広島県知事、混雑解消に活用
広島県の湯崎英彦知事は16日の定例会見で、ホテルや旅館の宿泊客に課税する「宿泊税」の早期導入を検討していることを明らかにした。課税額は明らかにせず、「できるだけ速やかな導入を目指したい」と話した。
宿泊税は、自治体が特定の目的のために課税する法定外目的税。条例を制定し、総務相の同意を得ると導入できる。全国では東京都や大阪府、福岡県のほか、京都市や金沢市なども導入している。
県は2018年、官民でつくる観光立県推進会議の下にワーキング部会を設置し、宿泊税の導入を検討してきた。19年に出した結論では、税収の活用例として、トイレの洋式化やWi-Fiの利用環境の整備支援などを挙げたが、その後、具体的な検討はコロナ禍で中断していた。
コロナ禍が明け、県内の観光客数は増加傾向だ。22年は4907万人で、前年比941万人増。外国人観光客は15.6万人で、前年から9.9万人増えた。昨年度は広島平和記念資料館(広島市中区)の入館者数が、過去最多の198万1617人に。最大で約2時間の入館待ち行列ができる日もあったという。湯崎知事は会見で資料館の混雑に触れつつ、「混雑は、お客さんにとって快適なことではない」と指摘。税収の使途について「(混雑などのオーバーツーリズムを)解消するための投資が当然含まれてくると考えている」と話した。(興野優平)