奈良・五條の市民合唱団 コロナ乗り越え 8年ぶり自前のコンサート

大野博
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 奈良県五條市で活動している伝統ある市民合唱団が5月12日、8年ぶりに自前のコンサートを開く。60~80代が中心のメンバーにとって、コロナ禍は他の世代にも増して過酷だった。それを乗り越えての待望の晴れ舞台に向け、練習に熱が入る。

 コンサートを開くのは、1971年創立の「五條混声合唱団コール・ジッポウ」と96年にできた「女声合唱グループ環(たまき)」。ともに市内にある智弁学園中学校・高校の元音楽科教諭、三木栄子さん(77)が創立時から指導しており、近年は合同で活動している。

 現在のメンバーは両団体合わせて男性5人、女性21人の計26人で、最高齢は87歳。大半は素人だが、それでも三木さんは妥協せず、「いいかげんな歌い方をしたら、聴衆が『なんだ、こんなものか』とコーラス嫌いになってしまう」と、声楽のプロの発声法を伝授し、歌詞を深く読み解いて豊かに表現するよう求めている。ふだんは杖が欠かせないお年寄りが、しゃきっと背筋を伸ばして美しい歌声を披露する――。そんなギャップに驚かされる。

 コロナの緊急事態宣言が出されるたびに練習が中断。家族の看護や介護を理由にやめるメンバーも相次いだ。そんな中、着用していても呼吸がしやすいマスクについて情報交換するなど、メンバーどうしが助け合いながら乗り切ってきた。

 コール・ジッポウ代表の山口桂子さん(65)は「一緒に歌っていたころは元気だったメンバーが亡くなってショックを受けたり、孤独な練習しかできずに張り合いがなくなったりしたけれど、久々に一堂に会したときは『コーラスって、こんなに楽しかったんや』と率直に思った。そんな様々な思いを胸に、精いっぱい歌いたい」と抱負を語る。

 五條市役所1階の「五條モール」で5月12日午後1時半開演。曲目は男声合唱「野ばら」、女声合唱「靴が鳴る」、混声合唱「花は咲く」など。入場無料、入場券が必要。入場券などの問い合わせは山口さん(電話0747・22・7794、ファクス0747・27・2159)へ。(大野博)

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