震災の応援職員宿舎、第二の人生は地元企業の社宅に 若者定住も狙い

山浦正敬
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 宮城県気仙沼市は今年度から、東日本大震災で全国から受け入れた応援職員向けの宿舎を、市内の企業に社宅として貸し出す。復興が進み、応援職員が減って空きが増えたためだ。人口減と少子高齢化を背景に、若者定住を促す狙いもある。

 宿舎は、市が震災から2年後にJR気仙沼駅そばに建てた鉄骨造2階建てのアパート。14部屋あり、各部屋の広さは20平方メートルで、風呂とトイレ、IHクッキングヒーターを備える。

 入居の条件は、企業が市外から正社員として採用した29歳以下の単身者。市内に本店を置き、条件に合う人を年度内に採用する予定の企業が貸し出しの対象だ。貸出期間は契約から最長3年で、入居が始まった月から月額1万2千円の家賃を支払ってもらう。

 震災後、市は昨年度までに全国95の国・自治体などから延べ907人の職員の応援派遣を受けてきた。ピークは14年度の201人だったが、昨年度は3人、今年度は国と県からの各1人になっており、空き宿舎の有効活用が課題になっていた。

 一方、市内に単身者向けの住まいが少ないため、若者を市外から採用したい企業にとっては住居の確保が課題となっており、双方のニーズが合致した格好だ。

 市担当者は「人口減を食い止めるためにも、市内の企業への就職を促すことは重要。宿舎の貸し出しで市外からの定住を後押ししたい」と話す。

 市は今月30日まで、希望する企業を募集しており、すでに複数の応募があるという。希望が多数の場合は市が抽選で貸出先を決める。(山浦正敬)

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