「黒い雨」岡山に支援団体 新基準で被爆認定、対象者の掘り起こしを

核といのちを考える

北村浩貴
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 原爆投下直後の広島で「黒い雨」に遭った住民たちを被爆者と認定する新基準の対象者を掘り起こそうと、原水爆禁止県協議会など3団体が20日、「『黒い雨』を考える岡山の会」を発足させた。6月1日午前10時~午後4時には、弁護士やソーシャルワーカーらが電話相談(086・254・6501)を受け付けるという。

 放射性物質を含む「黒い雨」を巡っては、広島高裁が2021年、当時の援護対象区域外で「黒い雨」を浴びた原告84人を被爆者と認める判決を出した。これを受けて翌22年4月から要件を広げた新基準の運用が始まった。

 県福祉企画課によると、県内では昨年度末までに23人が被爆者健康手帳を申請。20人に交付され、3人が審査中という。

 岡山国際交流センター(岡山市北区)で開かれた結成総会では、まだ新基準を知らない人を探し出し、手帳申請の支援につなげることが確認された。同会の平井昭夫共同代表は「記憶がないほど昔のことで掘り起こすのは大変だが、歴史の闇に埋もれてしまわないようにしたい」と語った。

 講演した元毎日新聞記者で「黒い雨」訴訟の取材を続けてきた小山美砂さん(29)も「私が知る限り広島以外で支援団体ができるのは初めて。会自体が被爆者援護を進めていく重要な役割を果たしていくのではないか」と、意義を強調した。

 小山さんは、広島での「黒い雨被爆者」の証言や訴訟の経緯などを説明し、新基準にもなお問題点があると指摘。国が示す「がんなど障害を伴う11疾病のいずれかにかかっている」という要件について、「そもそも病気にならないとダメと定めることはおかしい」と話した。(北村浩貴)

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