福島にも国営の追悼・祈念施設 26年春の完成めざし着工

大久保泰
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 福島県双葉町と浪江町にまたがる一帯に国と県がつくる復興祈念公園の予定地で23日、中核となる「追悼と鎮魂の丘」の管理施設の建築が始まった。東日本大震災の犠牲者を悼み、原発事故で故郷が失われた人たちの思いをつなぐ場所にする。祈念公園は2026年春の完成をめざす。

 復興祈念公園は、津波で被災した双葉町と浪江町の境界にある、中野、両竹地区の集落跡などにつくられる。このうち国営の追悼・祈念施設は約10ヘクタール。周辺の約40ヘクタールは県が建設を担う。公園全体の整備費は約135億円で、国営の部分は約50億円だ。

 追悼と鎮魂の丘は、地面からの高さが約10メートルで、直径200メートル。全方位を望むことができ、震災後に整備された防潮堤や海岸防災林、爆発事故のあった東京電力福島第一原発の排気筒も見えるようになるという。

 管理施設は丘の内部につくられ、地上1階、地下2階。両町の震災前や震災後、復興の様子を中心に伝える映像が流れる計画だ。国土交通省東北国営公園事務所の沢田大介事務所長は「映像を見ながら震災への思いをめぐらし、献花広場で犠牲になった方々を追悼してほしい。未来へ向かっていく福島への思いをはせる場にしたい」と話した。

 東日本大震災にまつわる国の追悼・祈念施設は、宮城県石巻市岩手県陸前高田市ですでに開園している。被災3県では福島県が最後になる。

 23日の安全祈願祭の後、双葉町の伊沢史朗町長は「他の2県と違うのは原子力災害、複合災害があったから。(施設の)完成型はなく、復興とともに手直ししていく必要がある。追悼と鎮魂の場だけでなく、未来に向かって復興の思いを強くする場にしてほしい」と話した。(大久保泰)

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