写真集「BENZO ESQUISSES 1920―2012」で今年の「林忠彦賞」(主催・周南市文化振興財団)に選ばれた写真家奥山淳志さん(51)=岩手県雫石町=の授賞式が20日、山口県周南市の遠石会館であった。奥山さんは「写真を通じ、私が引き込まれた弁造さんの人生を多くの人と共有できたら」と喜びを語った。

 受賞作は、北海道で自給自足の生活を送りながら絵を描き、92歳で他界した井上弁造さんが残したエスキース(習作)を題材とした。絵を撮影した写真が半数を占めるが、あるじ亡き家の庭に茂る植物やその影を重ねるなどして大地に根を張った故人の人生を見つめた。

 市文化振興財団によると、授賞式はこれまで東京で開催してきたが、市民に身近に感じてもらおうと今回から地元に変更した。29日まで同市花畠町の市美術博物館で奥山さんの受賞記念写真展が開かれている。(三沢敦)