秋田市沖の洋上風力発電 県漁協が参加へ 動き出す見通し
秋田市沖の洋上風力発電の整備をめぐり、秋田県漁業協同組合(加賀谷弘組合長)は、国や県、市との法定協議会に参加することを決め、県に伝えた。県は近く、洋上風力の「有望な区域」として国に情報提供する方針で、秋田市沖で具体的に動き出す見通しとなった。
関係者によると、県は12日、秋田市沖の洋上風力の対応について県漁協に照会。県漁協は15日付で法定協議会に「参加する」とし、国が秋田市沖の海底地盤や風況を調査する際に調査の時期や地点の「協議・相談に応じる」と通知した。
県は、秋田市の沖合4~5キロの海域を有望区域として国に情報提供するため、漁業の操業実態のほか水深や地質などの情報を整理している。県は5月10日の期限までに国に回答する。有望区域に指定されると、法定協議会で漁業への影響、地域の共生策などを議論する。
県は世界自然遺産の白神山地、国定公園の男鹿半島、鳥海山に近い海域を除き、洋上風力の候補海域5カ所を設定。今年3月には「八峰町・能代市沖」で発電事業者が決まり、候補海域では秋田市沖を残すのみとなっている。秋田市は10年以内の着工を目標に掲げる。
県漁協は朝日新聞の取材に、「漁獲高の低迷にくわえ、後継者難もあり、県内の漁業は非常に厳しい状況にある。風力発電との共生で漁業振興をはかりたい」と説明した。(室矢英樹)
秋田県内の洋上風力発電をめぐる主な動き
2014年6月 県が「あきた沖合洋上風力発電導入検討委員会」設置
15年2月 秋田港、能代港の発電事業者が丸紅に決まる
21年12月 「能代市・三種町・男鹿市沖」「由利本荘市沖」の発電事業者が三菱商事中心の事業体に
22年12月 能代港で運転開始
23年1月 秋田港で運転開始
10月 「由利本荘市・にかほ市沖」が浮体式の実証候補区域に
12月 「男鹿市・潟上市・秋田市沖」の発電事業者がJERAなどの事業体に
24年3月 「八峰町・能代市沖」の発電事業者が東北電力などの企業連合に決まる