佐用町が町有林でユーカリ植栽へ産学官協定結ぶ 外来種に住民反対も

雨宮徹
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 兵庫県佐用町は町有林などに、成長が早いとされるユーカリを試験的に植える取り組みを進めている。産官学で計画を実現するため、町が民間企業や大学院と今月協定を結び、2年間で約15ヘクタールに植栽する計画を立てたことが、取材で明らかになった。コアラが好むオーストラリア原産のユーカリの植栽を巡っては、「生態系が脅かされる」と町民から反発も出ている。

 協定は今月1日に締結された。町は町有林や民有林を、民間企業「ジャパンインベストメントアドバイザー」(東京)が資金をそれぞれ提供する。東京農工大大学院が技術指導を担う。

 計画では、2024年度は計約5ヘクタールにユーカリを植栽する。小学校跡地にユーカリの育苗施設を建て、約4万本の苗を育てていく。

 町の説明では、ユーカリは二酸化炭素を吸収しながら成長して10年程度で成木になるとされ、伐採後には木質バイオマス発電に利用されるという。そこで町は23年春と秋、試験的に町有林に300本以上の異なる種類のユーカリを植栽した。だが主にシカの食害によって20~30本程度しか残らなかった。

 一方、ユーカリの植栽に反対する町民有志が「外来種によって森林の生態系が脅かされる」などとして、署名活動をした。今年1~3月に約1600筆が集まった。

 署名を元にした請願が3月、町議会に出された。不採択になったが、「具体的な計画を早急に明らかにする」ことを町に求める項目だけが、部分採択された。(雨宮徹)

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