ふるさと逸品で大阪・泉佐野市と佐賀4町が協定 ふるさと納税が縁

小陳勇一
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 佐賀県東部にある吉野ケ里、基山、上峰、みやきの4町と大阪府泉佐野市が23日、それぞれの特産品のPRなどで協力する「ふるさと逸品協定」を結んだ。背景には、ふるさと納税をめぐる両者の浅からぬ縁がある。

 協定の対象品目には、基山町で飼育されている大型鳥類エミューの肉を使った肉みそやキーマカレー、みやき町の天吹酒造の日本酒、泉佐野市の泉州タオルなど、それぞれの市や町の特産品が選定された。

 各市町のイベントなどで展示・販売して、ブランド力の向上に向けて協力するという。

 基山町役場で開かれた協定の締結式で、泉佐野市の千代松大耕(ひろやす)市長は、市内に関西空港があり、大阪・関西万博が来年開かれることに触れ、「海外に向けても発信できるよう努めたい」と述べた。

 それに先立ち、4町長はこの日、「未来を志向した佐賀東部町長会共同宣言」を採択した。その中で、連携して実現する3項目の政策の一つとして、「ふるさと納税の新たな展開」を挙げた。

 今回の協定締結も、4町長が昨年2月、ふるさと納税の先進自治体として泉佐野市を訪ねたのがきっかけだ。

 ただ、両者の縁はそれだけではない。

 泉佐野市はふるさと納税で集める寄付額の多さで知られ、2017~19年度は3年続けて日本一になった。ところが、「返礼品は寄付額の3割以下の地場産品に限る」との総務省通知が義務化された19年6月、泉佐野市は、通知を守らずに多額の寄付を集めていたとして、ふるさと納税制度から除外された。

 この時、制度から除外されたのは泉佐野を含めて全国で4市町。その中に、みやき町も含まれていた。

 当時は町職員だったみやき町の岡毅町長は「泉佐野はふるさと納税のトップランナー」と話す。

 両市町は20年に制度に復帰した。岡町長によると、そのころから、ふるさと納税について泉佐野市と情報交換をするようになったという。「なぜこの商品は返礼品として認められないのか、総務省は次はどんな制度見直しをしそうか。やはり泉佐野さんは詳しいから」

 現在、泉佐野市と寄付の受け入れ額を競っているのは上峰町。21年度は113億円の泉佐野市が全国で5位、上峰町は45億円で20位だったが、22年度は5位の泉佐野市137億円に対し、上峰町は108億円で6位に迫っている。

 上峰町の武広勇平町長は「今回はふるさと納税の協定ではない」と話すが、泉佐野市の千代松市長は4町について、「ふるさと納税に熱心に取り組んでいらっしゃる」と評する。

 泉佐野市は、鹿児島県大崎町など全国7自治体と同様の協定を結んでおり、今回が8例目。千代松市長は「泉佐野の取り組みを紹介する一方、こちらも吸収できることは少しでも吸収したい」と話している。(小陳勇一)

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