「消滅可能性」静岡9市町 伊豆に集中、知事選でも問われる人口対策

大海英史 南島信也 林国広
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 有識者でつくる人口戦略会議(議長=三村明夫日本製鉄名誉会長)が24日発表した「消滅可能性自治体」に静岡県内の9市町があてはまった。伊豆半島に集中しており、定住人口や若年女性人口を増やす取り組みを急ぐ必要がある。5月の知事選でも、各候補が「人口減少」への具体的な対策を示せるかが問われる。

 人口減少にはさまざまな要因があるが、同会議は若い人が希望しても子どもを持てない状況を重視し、2020~50年までの30年間で若年女性(20~39歳)の人口が50%以上減少する自治体を「消滅可能性自治体」と名付けた。減少数は、死亡が出生を上回る「自然減」と、人口流出による「社会減」も加えた場合の推計で分析している。

 県内では、熱海市が自然減も、社会減を加えた場合も50%以上になり、自然減、社会減とも「対策が極めて必要」になった。下田、伊豆、御前崎、牧之原、東伊豆、松崎、西伊豆、川根本の8市町は自然減が20~50%未満で「対策が必要」、社会減を加えた場合が50%以上で「対策が極めて必要」になった。

 一方、長泉町はいずれの数値も20%未満で、県内でただ一つ今後も持続できる可能性が高い「自立持続可能性自治体」となった。(大海英史)

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 「全国の744自治体が将来、消滅の可能性がある」。有識者による人口戦略会議が24日に発表した。静岡県内では伊豆地域を中心に9市町が「消滅可能性自治体」に位置づけられた。

 熱海、下田、伊豆、御前崎、牧之原の5市と、東伊豆、松崎、西伊豆、川根本町の4町で、伊豆地域が大半を占めている。一方、「自立持続可能性自治体」は県内では唯一、長泉町が分類された。

 2014年の「日本創成会議」の発表では、県内11自治体が「消滅可能性自治体」に位置づけられていた。今回は伊東市南伊豆町、小山町、森町が脱却した一方、御前崎市牧之原市が消滅可能性に転じた。

 熱海市の斉藤栄市長は25日の定例会見で、対策として子育て支援や住宅施策を挙げたうえで、「一番大切なのは経済の活性化によって流入人口を増やし、働く世代を増やしていくことだ」と語った。

 同市はバブル崩壊後、観光客が激減した。11年を底にV字回復し、「熱海の奇跡」と言われているが、消滅可能性から脱却できなかった。

 斉藤氏は「観光業による雇用確保を前提に、自治体が連携して伊豆を売り出していくことが大事だ」と述べ、伊豆地域全体の底上げ策の重要性を強調した。

 「消滅可能性」は20~39歳の若年女性の人口減少率が指標になっている。そのため、牧之原市の杉本基久雄市長は同日の定例会見で、「若い女性に選ばれる街になるために、商業施設や産業施設を誘致し、若い女性の雇用の場やにぎわいの場を創出したい」と、若年女性に向けた政策を進める考えを示した。(南島信也、林国広)

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