視線は次期総選挙へ 長崎3区補選を終え、街頭に立つ野党の2人
擁立の見送りを含め、自民党が「全敗」したトリプル補選から一夜明けた29日、衆院長崎3区で戦った野党の2人は早速、次の総選挙を意識し、街頭での活動を始めた。
当選した立憲民主党の山田勝彦氏(44)は29日午前、長崎県大村市の事務所前に立ち、雨がっぱを着て、行き交う車や人々に手を振った。
前夜に投開票された3補選で立憲が全勝したことについて、報道陣に「歴史的な勝利で、野党第1党への期待の表れ。政権の選択肢への流れを示せた」と語った。
今回の選挙戦では「自民に投票してきた人たちは、私たちがどんな発信をしても響かない面もあったが、今回は耳を傾けてもらえた」と手応えを感じたという。
次期総選挙では、区割り変更後の新2区で立候補する予定だ。「現職で地盤も知名度もある方との戦いになる。今回の補選で勝ったからといって喜んでいるわけにはいかない」と気を引き締め、公民館などで小規模な集会を開いて、有権者に丁寧に政策を説明していきたいという。
政権交代に向けた課題については、「批判ばかりしている政党というイメージを払う必要がある」と指摘。「私たちの理念や政策を理解していただくことが必要だ」と語った。(天野光一)
◇
敗れた日本維新の会の井上翔一朗氏(40)は29日朝、長崎県佐世保市の事務所近くで街頭に立った。
激しい雨の中、シンボルカラーの黄緑色のジャンパーを着て、行き交う車に黙々と頭を下げた。「2万人を超える方に名前を書いていただき、感謝を伝えたい」という。
井上氏の事務所は、次の総選挙も見据え、3区補選の選挙区内でもあり、区割り変更後の新3区内でもある佐世保市早岐地区に置かれている。
「私の政治活動は始まったばかり。気持ちを切り替え、次の選挙へ向けて、がんばらなければ」と前を向く。
総選挙になると、補選よりも党本部からの人的な応援は得られない。地元の組織づくりが、大きな課題だ。
維新本部も、補選を足がかりに、長崎全体への党勢拡大を目指す。
26日に大村市に応援に入った馬場伸幸代表は、「どんな選挙でも候補擁立へ努力し、コツコツと地盤を全国各地で固めていく」と語り、「今の維新はそういう時期。今回の戦いも、そうつながっていけばいい」と次を見据える。(上沢博之)
◇
今回の長崎3区補選は自民党の裏金事件に端を発するだけに、自民党関係者の口は重い。
自民党長崎県連の前田哲也幹事長は、選挙結果について、朝日新聞の取材に「(前衆院議員の谷川弥一氏の辞職で)選挙戦になったこと、候補者を擁立しなかったことを申し訳なく思っており、コメントする立場にない。日常の活動をひたむきに続け、信頼回復に努めたい」と述べた。
自民県連は次期衆院選を見据え、補選期間中は制限されていた活動を5月から本格化させる構えだ。地域の支持者の声を聞く移動政調会を各地で開くほか、離島地域では、2027年3月に期限切れを迎える国境離島新法の継続に向けた取り組みもアピールしていく。
県議の一人は「解散総選挙はいつあるか分からない。(支持率が低い)岸田政権下での解散という最悪のシナリオを考えて準備していくしかない」と話した。(寿柳聡)
春の衆院補選2024
春の衆院補選に関する最新ニュースはこちら[もっと見る]