公明、知事選自主投票を決定 「意見集約できず」 無党派重み増す

公明

大海英史 青山祥子
[PR]

 公明党は30日、静岡県知事選で特定候補の推薦を見送り、自主投票する方針を決定した。推薦願を出した元副知事の大村慎一氏(60)と前浜松市長の鈴木康友氏(66)をそれぞれ推す声があり、意見を集約できなかったという。5月9日告示・26日投開票の知事選は、自民党県連が推薦を決めた大村氏、連合静岡や立憲民主党などが推薦する鈴木氏、共産党県委員長の森大介氏(55)が争う構図が固まった。

 公明党県本部の蓮池章平代表代行は30日、静岡市駿河区の県本部で会見を開き、自主投票を発表した。公明は川勝平太知事が初当選した2009年知事選で自民と共に他の候補を推薦したが、その後の3回に続く4回連続の自主投票になる。

 蓮池氏は「政策面では大きな隔たりはない。両氏とも公明党とそれなりの関係性があり、今後とも意思疎通ができる」としたうえで、「地域性や人間関係で、どちらか1人に推薦を出す意見集約できなかったことが大きな要因」と述べた。

 県本部は20日に幹事会を開いた際、大村、鈴木両氏を推す声があり、自主投票を求める意見もあった。蓮池氏は会見で、23日に自主投票を党本部に上申したことを明らかにした。25日に党本部の常任役員会を経て、30日に中央幹事会で正式に決まったという。

 この間、自民党は派閥の裏金事件で塩谷立衆院議員(比例東海)が離党し、女性問題で宮沢博行前衆院議員(同)が辞職したほか、28日の衆院補選で不戦敗も含めて3選挙区で全敗した。この影響について蓮池氏は「基本的には関係ない。23日に県本部の意思を伝えている」と述べた。

 今後は組織として「どちらかの候補を表に立って応援することは基本的にはない」という。

     ◇

 大村、鈴木両陣営は公明の対応を注視してきた。支持母体の創価学会組織票がどちらに向かうかが重要と考えていたからだ。

 国政で自民と連立を組む公明が自主投票になったことで、両陣営共に無党派など幅広い層への浸透が一層かぎを握る。新顔どうしの争いで、県中部は大村氏、県西部は鈴木氏など地域的に知名度があっても、「県内全域には名前も政策も浸透していない」(自民県議)という声もある。

 26日投開票まで1カ月を切り、県内をくまなく回るのにも限界がある。ある県議は「1、2回しか回れない場所もあり、地域の人に印象に残る言葉がほしい」と話す。(大海英史、青山祥子)

     ◇

 静岡県選挙管理委員会は30日、5月9日告示の知事選を前に、県庁で立候補に必要な書類の事前審査の受け付けを始めた。元副知事の大村慎一氏(60)と、前浜松市長の鈴木康友氏(66)、共産党県委員長の森大介氏(55)の3陣営のほか、2人が出席。3陣営は事前手続きを済ませたという。

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません