ニュース 2019.10.15. 18:00

巨人VSソフトバンク 原監督と工藤監督の意外な“因縁”

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話題のアスリートの隠された物語を探る「スポーツアナザーストーリー」。今回は、10月19日に開幕する日本シリーズで19年ぶりに対決することになった、巨人とソフトバンクの“因縁”にまつわるエピソードを取り上げる。

「目標はあとひと山。その目標に向かって、全力で戦いたい」(巨人・原監督)

「(巨人は)現役のときにお世話になったチーム。注目してもらえる試合だと思うので、いい試合、熱い試合、野球史に残る試合をしたい」(ソフトバンク・工藤監督)

セ・パともに13日で幕を閉じた、CS(クライマックスシリーズ)ファイナルステージ。セは優勝チームの巨人が、3位・阪神を4勝1敗(アドバンテージ1勝含む)で下し、6年ぶりの日本シリーズ進出を決めました。

巨人は9月21日にリーグ優勝を決めてから、10月9日のCSファイナルステージ開幕まで、2週間以上も真剣勝負から遠ざかっていました。そんななか、レギュラーシーズン6連勝で奇跡的に3位へ滑り込み、CSファーストステージを突破した阪神と対戦。

阪神には、5年前のCSファイナルで4連敗を食らい、日本シリーズを逃した苦い過去があるだけに、巨人にとっては嫌な相手でしたが、フタを開けてみれば第1・2戦と巨人が快勝。ブランクを感じさせない戦いぶりで、いきなり日本シリーズ進出に王手をかけたのです。

第3戦は阪神に逆転勝ちを許したものの、13日の第4戦は、巨人の強さを改めて印象づけるシーンがありました。5回、岡本の同点弾で1-1と追い付いた巨人は、6回、2死三塁のチャンスを迎えます。ここで打席には丸。阪神先発・西の初球に、いったん打ちに行く動作をしながら、三塁前へ意表を突くセーフティースクイズを敢行!

フィールディングには定評のある西も、想定外の奇襲攻撃に、慌ててマウンドを駆け下り一塁に送球しましたが、それてセーフに。西はグラウンドに座り込んで動けず、結果的にこの1点が、CS突破を決める決勝点になりました。三塁手・大山が守備位置を少し後ろに下げたのを見逃さず、「三塁方向に転がせば、高い確率でセーフになる」と読んだ上で、2アウトからのスクイズ。阪神側はもちろん、巨人ベンチも驚いたこの作戦は、試合後の会見で原監督が「ノーサインです」と語ったように、丸自身の判断です。

「勝つためには、自分がいま何をすればいいか」を常に考え、実行する丸。さすがは4年連続で優勝を経験しているプレーヤーですし、その姿勢は、優勝経験のない若手選手たちにも大きな影響を与えました。こんなところにも、丸を獲得した効果があるのです。

一方パは、2位・ソフトバンクが優勝した西武を2年連続で破って、こちらは3年連続の日本シリーズ進出。しかも第1戦から4連勝、「何でこんなに強いチームが、2年連続で2位なの?」と思ってしまう圧倒的な強さを見せました。

ソフトバンクも、CSでは選手層の厚さを見せ付け、レギュラーメンバー頼みの西武に圧勝。ファーストステージで、打撃不振の松田宣浩をスタメンから外したり、ファイナル初戦では、CSで抜群の成績を誇る内川に代打を送るなど、大胆な工藤監督の采配がずばり的中し、ファンからは「神采配」と讃える声も。

裏目に出たら猛烈な批判を浴びかねない采配でしたが、これはただの「勝負勘」によるものではありません。工藤監督は毎日、データをもとに対戦相手を事細かに研究。「西武の中継ぎ・平良の速球には、内川よりも長谷川の方が合っている」など、選手の特性や相性も考慮して「より勝つ確率が高い道」を選んでいるのです。


【プロ野球CS2西武対ソフトバンク】勝ってファンに挨拶するソフトバンクナイン=2019年10月13日 メットライフドーム 写真提供:産経新聞社
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