常勝を義務付けられている
巨人はFAで他球団の大物選手を獲得するイメージが強いが、当然ながら生え抜きのスター選手も多い。
松井秀喜、
高橋由伸、
上原浩治、
阿部慎之助、
坂本勇人……。だが、生え抜きの実力者がチーム事情で他球団に移籍するケースもある。2018年オフにいずれもFAの人的補償でエースとして長年チームを支えた
内海哲也が
西武へ、首位打者、最多安打を獲得した巧打者の
長野久義も
広島に移籍した。
ファンから愛された両選手の移籍は大きな反響を呼んだが、今から10年以上前も巨人の生え抜きの主力選手が「電撃トレード」でチームを去った出来事があった。
仁志敏久と
二岡智宏。二遊間を組んだ両選手の華やかなプレーが脳裏に強烈に焼き付いている野球ファンは多いだろう。
巨人・仁志敏久
・仁志敏久(巨人、横浜、米国独立リーグ・ランカスター)
※NPB通算成績 1587試合出場、打率.268、154本塁打、541打点、135盗塁
常総学院高、早大、日本生命とアマチュアでエリート街道を歩み、1996年ドラフト2位(逆指名)で巨人に入団。幼いころからあこがれ、前年に引退した
原辰徳(現監督)の背番号「8」を継承した。1年目に打率.270、7本塁打をマークし、巨人の野手で原辰徳以来15年ぶりの新人王を受賞。2004年に自己最多の28本塁打を放つなどパンチ力のあるリードオフマンとして強力打線を牽引した。
しかし、原監督が2度目の監督就任した06年に打撃不振もあり、64試合と出場機会が激減。自らトレード志願して球団も了承し、同年オフに
小田嶋正邦と金銭トレードで横浜(現
DeNA)に移籍した。米国独立リーグを最後に10年限りで現役引退。NPBの14年間で通算1591安打を積み上げた。二塁の名手としても知られ、独特のポジション取りと卓越したグラブさばきでゴールデン・グラブ賞を4度獲得した。
巨人・二岡智宏
・二岡智宏(巨人、
日本ハム)
※NPB通算成績 1457試合出場、打率.282、173本塁打、622打点、48盗塁
広陵高、近大を経て1999年ドラフト2位(逆指名)で巨人に入団。強肩強打の大型遊撃手として1年目に
川相昌弘から遊撃のレギュラーを奪い、打率.289、18本塁打をマーク。2年目の2000年には9月24日の
中日戦(東京ドーム)でリーグ優勝を決めるサヨナラアーチを放った。02年に日本シリーズMVPに輝き、03年は全試合出場で打率.300、自己最多の29本塁打と球界を代表する選手に。逆方向の右翼に本塁打を放つ打撃技術は天才的だった。
攻守に不可欠な主力として活躍していたが、選手会長に就任した08年に開幕戦で右ふくらはぎを肉離れして戦線離脱。復帰後も再び右足首捻挫と故障に泣かされて入団以来最少の31試合出場に終わった。この年は高卒2年目の坂本勇人が全試合出場で遊撃のレギュラーをつかみ、二岡は同年オフに
林昌範とともに
マイケル中村・
工藤隆人との交換トレードで日本ハムに移籍。5年間プレーして13年限りで現役引退した。
写真=BBM