2017.11.13

「日本人を起点に」試合を進めたアースフレンズ東京Z、価値ある勝利で連敗ストップ

チーム最多16得点の秋葉真司を筆頭に、出場した日本人選手全員が5得点以上をマーク [写真]=山口剛生
2000年より、バスケットボール専門で取材活動中

 11月12日、アースフレンズ東京Zがホームの大田区総合体育館で金沢武士団と対戦し、95-90で前日の雪辱を果たすと同時に、連敗を「4」でストップした。9日にジェームズ・シルヴィとの契約を解除したばかりで、外国籍選手を1人欠いた中での貴重な勝利だった。

 前日の1戦目は第3クォーターまでに11点のリードを得ながらも、第4クォーターで相手の高いエナジーレベルに対して受け身になってしまい、無念の逆転負けだった。この日も滑りだしは良く、前日無得点の西山達哉が次々にシュートを沈めるなど第1クォーターに28得点の猛攻。しかし、第2クォーターでアンドリュー・フィッツジェラルド1人に12得点を許すなどして差を詰められると、第3クォーター残り3分40秒には本間遼太郎の3ポイントで試合をひっくり返された。

12得点8アシストの西山達哉 [写真]=山口剛生

 そしてそこからは、東京Zが再度リードを奪うと金沢もすかさず取り返す、文字どおりのシーソーゲームを展開。激しいつばぜり合いは第4クォーターになっても続いたが、第3クォーターですでに中村友也がファウルアウトしていた東京Zは、試合終了残り2分42秒でリッチモンド・ヴィルデもファウルアウトしてしまった。外国籍選手がルーベン・ボイキンだけという危機に陥った東京Zだったが、そのボイキンが同点の同1分6秒で3ポイントを決めてリードを奪い、フィッツジェラルドの得点で1点差に詰め寄られても秋葉真司の3ポイントでリードを4点に広げ、相手のファウルゲームで得たフリースローで6点を加えて熱戦に終止符を打った。

体を張ったプレーで5得点6リバウンドを記録した村越圭佑 [写真]=山口剛生

 東京Zはクラブとして『世界に通用する選手を輩出する』という大きなテーマを掲げ、斎藤卓ヘッドコーチもそれを受けて日本人選手がアグレッシブに攻めるスタイルに取り組んでいる。この日の95得点のうち、ヴィルデとボイキンの得点は計24点。16得点の秋葉を筆頭に、ケガの影響で欠場した中川和之を除く日本人選手全員が5得点以上をマークし、計71得点を積みあげた。

 斎藤HCは「日本人が必ずしも得点を取る必要はない」とした上で、「日本人が起点になってどうやってディフェンスのズレを作るかが大事。ボイキンの最後の3ポイントも、たまたまオープンの状況を作ることができたのが彼のところだった。我々のシステムは、全員でチャンスメークをしていろいろな攻め手を生みだせる」と、オフェンスシステムの成果を強調。その中で日本人選手の得点が伸びたことは、クラブのテーマに沿った戦い方ができたと言っていいだろう。

『世界に通用する選手を輩出する』というテーマの下で東京Zの指揮を執る斎藤HC [写真]=山口剛生

 また、前日は終盤の集中力の差で金沢に後れを取ってしまったが、この日は逆に競った状況で集中力が切れることなく戦ったことも勝利につながった。斎藤HCも「若い分、エネルギーの浮き沈みが大きいが、エネルギーが高い時は今日のようなゲームができる」と語るように、この試合はその若さがいい方向に出た。

 次節は昨季B1に所属していた秋田ノーザンハピネッツとの一戦。ホームに迎え撃った第2節は、「ある程度やりたいことはできた」(斎藤HC)という2戦目こそ最後まで勝負の行方がわからない好ゲームだったが、連敗という結果に終わっている。「昨日(11日)もそうですが、やはり結果が伴わないと僕らが目指すものやスタイルを正しいと言えなくなってしまうので、しっかり結果につなげたい」と斎藤HCは意気込む。

 未だ1敗しか喫していない秋田が強敵であることは確かだが、その秋田を破ることができれば大きく弾みがつくことも間違いない。現在5勝10敗で中地区最下位とはいえ、首位の茨城ロボッツとの星の差は「4」しかない。混戦模様の中地区を占う上で、秋田に挑む東京Zの戦いぶりは要注目だ。

混戦模様の中地区をさらにかき回すことができるか [写真]=山口剛生

文=吉川哲彦

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