米FDA、12~15歳へのファイザー製ワクチンの緊急使用を許可

Hanna Riva Goldberg, 16, receives the Pfizer vaccine, New Hyde Park, NY

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画像説明, アメリカではすでに16歳以上へのファイザー製ワクチンの接種が進められている

米食品医薬品局(FDA)は10日、米ファイザーと独ビオンテックが共同開発した新型コロナウイルスのワクチンについて、12~15歳を対象とする緊急使用を許可した。これにより、さらに多くのアメリカ人がワクチンを接種できるようになる。

FDAは「(新型ウイルス感染症)COVID-19のパンデミックとの闘いにおける重要な一歩」だとした。

FDAのジャネット・ウッドコック長官代行は、今回の決定について、「私たちが平常心を取り戻し、パンデミックの収束に近づく」ことが目的だと説明した。

アメリカではこれまでに2億6000万回の接種が行われているが、需要は減少傾向にある。

ウッドコック長官代行は声明で、「FDAはこれまでCOVID-19ワクチンの緊急使用を許可してきた際と同じく、入手可能なすべてのデータを厳格かつ徹底的に見直した。保護者の皆様には安心していただきたい」と付け加えた。

臨床試験での成功

アメリカではすでに16歳以上へのファイザー製ワクチンの接種が認められている。10日の発表は、この対象年齢を12~15歳まで拡大するもの。

ファイザーとビオンテックが12~15歳までの子供2260人を対象に行った臨床試験では、被験者はワクチンあるいはプラセボ(偽薬)を2回接種した。プラセボを接種した被験者のうち18人が新型ウイルスに感染したが、ワクチンを接種した被験者からは感染者は1人も出なかった。

米疾病対策センター(CDC)の諮問委員会が12日にも緊急使用について協議し、承認すれば直ちに12~15歳への接種を開始できる。

アメリカでは今秋の学校での授業再開を前に、学生と職員のCOVID-19ワクチン接種を義務付ける高等教育機関が増えている。ニューヨーク州とオレゴン州の一部の大規模大学もこれに加わった。

ニューヨーク州立大学、ニューヨーク市立大学、オレゴン大学、ウェスタンオレゴン大学は10日、学生と職員に接種を義務付ける規則を発表した。

ジョー・バイデン米大統領は先週、7月4日までに国民の70%に少なくとも1回のワクチンを接種する計画を発表した。

マスク着用義務は全国的に緩和されつつある。ほとんどの州は経済活動をすでに再開しているか、来月中に再開する予定。

しかし予防接種の需要は減少傾向にあり、各州は連邦政府からのワクチン割り当てを拒否している。ウィスコンシン州、アイオワ州、コネチカット州、サウスカロライナ州、ノースカロライナ州、ワシントン州などが割り当てを減らすよう要求した。

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新型ウイルスは子供にとって危険?

子供が新型ウイルスに感染し重症化するリスクはごくわずかであることがデータで示されている。

米小児科学会(AAP)によると、アメリカでは今月の時点で合わせて385万人の子供がCOVID-19陽性と判定されている。これは全国の感染者の10%超にあたる。

子供の陽性者のうち入院したケースは0.1~1.9%、死亡したのは0.21%以下だとAAPは報告している

CDCによると、健康な子供が合併症を引き起こすリスクは、COVID-19よりもインフルエンザの方が高いという。

ほかのワクチンメーカーは

ファイザーは子供を対象とした臨床試験を行っているワクチンメーカーの1つ。学校での授業を継続し、地域社会における新型ウイルスの流行を抑え、リスクの高い疾患を持つ子供たちを守ることが、子供へのワクチン接種の目的だ。

米モデルナと米ジョンソン・エンド・ジョンソンは12~18歳の子供を対象に臨床試験を進めている。モデルナのデータは間もなく公表される予定。

また両社は生後6カ月~11歳までの子供を対象とした臨床試験も行っている。

英アストラゼネカは子供のボランティア300人を対象に臨床試験を行っている。これは6~17歳の子供に強い免疫反応が現れるかを評価するもの。

バイデン大統領は5日、世界貿易機関(WTO)で提案された、新型ウイルスワクチンの知的財産権の保護の放棄を支持すると表明した。知的財産権の放棄がWTOで承認されれば、ワクチンの生産量を増やすことができ、裕福ではない国に手頃な価格でワクチンが提供されるようになる。

世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム・ゲブレイエスス事務局長は、バイデン氏の支持は新型ウイルス感染症COVID-19との闘いにおける「記念すべき瞬間」だと述べた。