英南西部の住宅地で乱射事件、5人殺害 22歳容疑者は自殺

Forensic team at scene in Keyham, Plymouth

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現場を調べる鑑識チーム(英南西部プリマス・キーアム)

英南西部プリマスの住宅地で12日午後、22歳男性が約6分の間に5人を射殺した後、自殺した。イギリスでは2010年以来、最悪の乱射事件となった。

デヴォン・コーンウォール警察のショーン・ソーヤー本部長によると、ジェイク・デイヴィソン容疑者は銃砲所持免許を保有していた。警察は、事件はテロ関連ではないとしている。

調べによると、容疑者は自宅で51歳女性を殺害。警察は、容疑者と女性は「家族関係にあった」とみている。容疑者は続いて家の外に出て、通りかかった「とても幼い女の子をただちに撃ち殺した後、その女の子の男性親族も撃ち殺した」と警察は説明した。この少女は3歳で、一緒にいた43歳の父親も殺害されたとみられている。

容疑者は続いて、通りで53歳女性と33歳男性に向けて発砲。病院に搬送された2人は「命に別状はない様子」だという。

容疑者はさらに近くの緑地に入り、59歳男性を射殺。近くの通りで66歳女性を撃った。この女性は後に病院で死亡した。

ソーヤー警察本部長は「複数の目撃者によると、デイヴィソン容疑者はこの時点で銃を自分に向けて、自分の命を絶った」と話した。

本部長によると、容疑者は銃所持免許を保有。使用された銃は目撃者によると「ポンプアクションを使うショットガン」だったというが、警察はまだこれを確認していない。

本部長は、銃はすでに現場から回収しており、事件の共犯者の捜索は行っていないと述べた。

「この事件は、家庭に関することが屋外に流れ出て、複数の住民がきわめて悲劇的な状況で命を落とす羽目になった事案だと、考えている」と本部長は説明した。

動機はまだ特定されていないという。

Jake Davison

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ジェイク・デイヴィソン容疑者

現場ビディック・ドライブ通りの住所について警察に通報があったのは午後6時11分のことで、警官たちは6分以内に到着したという。この間に「複数回の発砲があった」と本部長は話した。救急隊は午後6時半ごろに現場に到着した。

警察は13の現場で捜査を続けており、容疑者のコンピューターのハードドライブやソーシャルメディアへの投稿も捜査の一環として調べる方針を示した。

事件現場の近くに住む目撃者のシャロンさんは、「最初に怒鳴り合う声が聞こえて、続いて銃声が聞こえた。まずは3発か4発」と述べた。

「そうすると犯人が家のドアをけり破って、無差別に撃ち始めた。撃ちながら家を走り出て、直線の緑地帯にいた人たちも撃って、そのまま発砲しながら通りを移動していった」

「インセル」

デイヴィソン容疑者が事件前に最後にソーシャルメディアに投稿したとみられる11分の動画で、容疑者は自分が社会的に孤立し、女性と知り合うのが難しいと話していた。さらに、「インセル(incel)」という表現を繰り返し使った。

「インセル」とは「involuntary celibate(非自発的に禁欲・独身)」を意味するようになった略語で、最近ではオンラインで集団になって女性を攻撃したりする男性たちを表すこともある。そうした「インセル」が実社会で暴力行為に及んだ事件も、世界各地で起きている。

3週間前に掲示板サイト「レディット」に投稿した動画で、デイヴィソン容疑者は「まるで映画だっていうのは分かるけど、時々自分がターミネーターとかそういうのみたいだと思ったりするのが好きだ。完全にシステムがシャットダウンしそうになるけど、それでも彼は任務を果たそうとし続けるんだ」と、話していた。

ほかに容疑者は、クレーン操作の仕事に採用されたと言い、銃砲取締法についても言及。「銃乱射事件は新しい現象で、銃そのもののせいじゃない」、「それに人が思っている以上にヨーロッパやイギリスには銃がたくさんある」と述べていた。

レディット上の別のページでは、童貞グループへの投稿で、自分が「童貞」で「女性は全く振り向いてくれない」と不平を書き込んでいた。

ユーチューブとフェイスブックは、デイヴィソン容疑者のアカウントを規約違反で削除していたことを確認した。

ソーシャルメディアでの偽情報を取材しているBBCのマリアナ・スプリング記者は、容疑者が自分の外見や女性に「もてない」とユーチューブ動画で不満を口にしていたと指摘。さらに、「インセル」と呼ばれる女性嫌悪的なオンライングループが使う、様々な表現を使っていたという。

スプリング記者によると、「インセル」と呼ばれるオンライン・サブカルチャーに集まる男性は、自分の外見や女性との関係、人生全般に対する不満を、女性や、女性と良好な関係を築ける男性たちのせいにすることが多い。

防衛機器エンジニアリング大手のバブコック・インターナショナルは、デイヴィソン容疑者が昨年8月以来、プリマスの現場で助手として働いていたことを確認した。同社のデイヴィッド・ロックウィードCEOは、「事件に衝撃を受け、とても悲しんでいる」とコメントした。

ボリス・ジョンソン英首相は13日、「プリマスで昨夜起きた悲劇的な事件で、命を落とした人たちの家族や友人たち、影響を受けたすべての人たちに思いを寄せている。救急救命隊の対応に感謝する」とツイートした。