豪各地でロックダウンに抗議デモ、警察と衝突　数百人逮捕

オーストラリアのメルボルンとシドニーで21日、新型コロナウイルス対策のロックダウンに抗議して数千人が集まり、警官隊と衝突した。

メルボルンでは4000人超のデモ隊が、警察の制止線を突破。騎馬警官隊が催涙スプレーを使った。

メルボルン市警は218人を逮捕。少なくとも警官7人が負傷したという。

メルボルンでの衝突について、ヴィクトリア州の警察は抗議参加者による暴力を非難。豪紙シドニー・モーニング・ヘラルドによると、警察報道官は「平和的に抗議する人たちも一部にいたものの、参加者の大半は最初から暴力を振るうつもりでいた」、「警官たちが目にした（参加者の）態度はあまり敵対的で暴力的だったため、警官が使えるあらゆる手段を講じるかほかに選択の余地はなかった」とコメントしている。

警察によると、逮捕された人は全員、新型コロナウイル規制に違反した疑い。有罪となれば罰金5452豪ドル（約43万円）の罰金を科せられる。

ヴィクトリア州では同日、感染対策としての自宅待機命令が州全体に拡大された。

ニューサウスウェールズ州では20日夜までの24時間で、地元での新規感染者が825人になった。ひとつの州での1日の新規感染者数としては、国内過去最多を記録した。同州の州都シドニーでは同日、ロックダウンの期限がさらに9月末まで1カ月延長された。シドニーの住民には6月末から、自宅待機命令が出されている。

シドニーでは21日のデモに、約250人が参加。警官1000人が投入された。ニューサウスウェールズ州警察のマル・ラニヨン副本部長は記者団に、デモ参加者が警官1人を路上に引きずり出したことで、この警官が負傷したと話した。逮捕者は47人に上るという。

副本部長によると、警察は市内中心部に向かう車両3万8000台を制止し、ロックダウン規制違反の疑いで260件の違反通達を発行した。ラニヨン氏はデモ隊の行動を「みっともない」と非難し、警察対応は表現の自由を制止するものではなく、新型コロナウイルスの拡散を止めようとするものだと話した。

クイーンズランド州の州都ブリスベンでは、2000人以上が集まり、おおむね平和的に行進した。

外出制限に反対する人の多くは、感染対策として効果的ではないと批判する。ニューサウスウェールズ州の州議会議員たちは、貧困層が多く住むシドニーの西部や南西部の郊外に対する規制がとりわけ厳しいのが不公平だと批判している。

人口約2500万人のオーストラリアは多くの諸外国に比べてパンデミック対策に成功しており、これまでの感染者は4万3119人、死者は978人（米ジョンズホプキンス大学集計）。ただしデルタ変異株によって6月から、感染者が急増している。

（英語記事　Covid: Australian police clash with anti-lockdown protesters）