ホンダ「GB350」はヤマハSRに代わってシングルファンを喜ばせられるか!?

排気量348.36ccの空冷4ストローク単気筒SOHCを搭載したシンプルな外観のネイキッドモデルホンダ「GB350」が発売予定です。バイクジャーナリストの青木タカオさんが、報道陣に公開された実車を見て触って跨ってきました!!

懐かしの“GB”を名乗り、SRの穴埋める!

 空冷シングルの味わい深さは、多くのバイクファンが知るところです。ヤマハSR400は1978年に登場して以来、その代表格として43年にも渡ってシーンを牽引してきましたが、今年で生産終了となってしまうことが決まっています。さぁ、その穴を誰が埋めるのでしょうか。

ヤマハのロングセラーモデル「SR400」の穴をホンダの「GB350」は埋めることができるのか

 名乗りを上げたのはホンダ、『GB350』がスタンバイしています。「GB」といえば、レーサーレプリカ全盛期の1983年に発売した『GB250クラブマン』や、“打倒SR”として同じ排気量で1985年にリリースした『GB500TT/GB400TT(TT:ツーリストトロフィー)』がありました。ホンダのレトロ風シングルスポーツが復活となります!

ダッ、ダブワンかっ! 実車を見て思わず感じた60年代

 メディアに公開された実車を見ると、昔ながらのフロント19/リア18インチのホイールに、シンプルな丸目ヘッドライト、丸みを帯びた燃料タンク、正立式フロントフォーク、ツインショック、スチール製のフェンダーと、トラディショナルなスタイルに興奮せずにいられません。

60年代のカワサキW1を彷彿とさせるシフトチェンジはシーソーペダルを採用

 スチール製セミダブルクレードルフレームに搭載される完全新作の単気筒エンジンはシリンダーが直立し、これまたムード満点。しかもシフトチェンジはシーソーペダルでおこなうという古めかしさで、60年代のカワサキW1を思い浮かべてしまいます。

ロングストローク設計の味わい深いエンジンフィーリングに

 スペックは348.36cc、最高出力21.08ps/5500rpm、最大トルク3.06kg-m/3000rpm。注目はボア・ストロークで、SR400の87×67.2mmよりロングストローク設計の70×90.5mm。最大トルクをわずか3000rpmで発生することからも分かる通り低速からトルクが太く、鼓動も味わい深いことが読み取れるではありませんか。このセグメントではパワーよりテイスティさが求められるので、ファンとしては嬉しいかぎりではないでしょうか。

総排気量348.36cc、最高出力21.08ps/5500rpm、最大トルク3.06kg-m/3000rpmを発生させる空冷4ストローク単気筒エンジン搭載

 ちなみにかつてのGBたちは、400がボア84×ストローク×72mm、250が72×61.3mmといずれもショートストローク。よりノンビリとしたエンジンフィーリングになりそうです。

 見た目や予想する乗り味はトラディショナルなものですが、ヘッドライトをはじめとした灯火器類はすべてLED式ですし、アナログタイプの単メーターにはデザインを邪魔しないようさり気なく小型ディスプレイが埋め込まれ、そこにシフトインジケーターやリアルタイムでの燃費、走行可能距離なども表示するという多機能っぷり。さすがはホンダ、抜かりはありません。

 さらに、アシストスリッパークラッチやHSTC=ホンダセレクタブルトルクコントロールも搭載。開け始めから発揮する太いトルクもトルコン搭載なので、雨天なども安心してスロットル操作ができそうです。

ロードスターも出てくる!!

 じつはこの『GB350』。インドでは『ハイネスCB350』として20年秋に先行発売され、すでに大ヒットとなっていますが、第2段として『CB350RS』も登場。タンクグラフィックスがスポーティになって、前後フェンダーやサイドカバー、ステップ&シフトペダルも現代風。シートも軽快なタックロールタイプとなって、LED式のテールランプとしています。

リアホイールが17インチ化され発表された『GB350RS』もスタンバイ

 リアホイールは17インチ化され、「RS」のネーミング通りスポーティな走りが期待できます。これも『GB350RS』として日本上陸が予想され、『GB350』との2本立てラインナップになりそうです。

「RS」もまたホンダ伝統の名で、1980年発売の『CB250RS』を思い出します。当時、4サイクルロードスポーツ車としては国内クラストップ(乾燥重量128Kg)の軽量なモデルでした。

 気になるのは価格や発売時期ですが、それはまもなく。どうぞ続報をご期待ください!!

【了】

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Writer: 青木タカオ(モーターサイクルジャーナリスト)

バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。自らのモトクロスレース活動や、多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク技術関連著書もある。

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