ソニー、過去最大1000億円の自社株買い、株主還元で初-株価反発
古川有希-
発行済み総数比2.36%、これまではグループ再編などに伴う実施
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ソニー株は2017年10月以来の安値水準で推移していた
ソニーは8日、発行済み株式総数の2.36%に当たる3000万株、金額で1000億円を上限に自社株買いを行うと発表した。金額規模は過去最大。
発行済み株式総数の2.36%に当たる3000万株が対象で、実施期間は12日から2019年3月22日まで。取得方法は市場買い付けで行う。企業価値の増大と配当を通じた利益還元の実施を基本とする中、財務や株価の状況を考慮したとしている。
株価は5営業日ぶりに大幅反発し、一時前日比6.7%高の5030円まで上昇した。午前終値は4.9%高の4943円、売買代金は東証1部で2位。7日終値は17年10月以来の水準に落ち込んでいた。
ソニー広報担当の飯田高志氏は、「株主還元を目的とした自社株買いは今回が初めて」と説明。これまで同社が行った自社株買いはグループ再編に伴い、少数株主に対するものだったという。自社株買いの実施は04年以来。
エース経済研究所の安田秀樹シニアアナリストは、「自社株買い自体はサプライズ」とした上で、足元の株価が下落傾向にあることから「ソニーの経営陣は、今の株価が自分たちの考えている理論的な株価よりも安過ぎるととらえたのではないか」との認識を示した。
ブルームバーグ・インテリジェンスの若杉政寛アナリストは、「間接的に会社として株価を気にしているという感じが見え、そういう姿勢は良い。キャッシュフローもしっかり出ている」と評価した。
ソニーが1日発表した決算では、主力の画像センサーの減速などを理由に今期(19年3月期)の売上高計画を下方修正した。米中貿易摩擦の長期化などを背景に半導体の売上高と営業利益見通しを減額した。一方、米国での繰延税金資産に対する評価性引当金を取り崩し、法人税の減額を計上した関係で純利益計画は上方修正した。