5月30日の海外株式・債券・為替・商品市場
Bloomberg News欧米市場の株式、債券、為替、商品相場は次の通り。
◎NY外為:ドル指数が上げ失う、リスク回避が重しに
30日のニューヨーク外国為替市場ではドル指数が上げを失った。米国株が上げ幅を縮小し原油が大幅安となるなど、リスク回避の流れに押された。
- ニューヨーク時間午後4時50分現在、ブルームバーグのドル・スポット指数はほぼ変わらず。一時は5カ月ぶり高値を試していた
- 序盤のリスク選好の流れは時間とともに失速。背景では米国株が上げ幅を縮小し、ニューヨーク原油先物は4%近い下げとなった
- カナダ・ドルは米ドルに対ししっかり。前日の動きはカナダ中銀政策声明に対する過剰反応だったとの見方から、巻き戻しが入った
- ユーロは対ドルで変わらず、1ユーロ=1.1130ドル。イタリアの動向を材料に年初来安値に一時近づくも、その後下げを埋めた
- ポンドはドルに対し0.1%安の1ポンド=1.2612ドル。4営業日続落となった
- 英国の欧州連合(EU)離脱に関し、総選挙よりも2回目の国民投票実施が好ましいとハモンド財務相が述べた
- ドルは円に対し1ドル=109円62銭とほぼ変わらず
欧州時間の取引
ドルが上昇し、逃避先通貨は軟化。米中貿易摩擦が悪化する新たな兆候がみられず、世界的な株安が一服した。欧州のトレーダー2人によると、ロンドン時間に入ってからは月末特有の資金フローがドルを支えた。ユーロは年初来安値圏にとどまった。
原題:Dollar Up a 4th Day, But Weighed Down by Risk-Off: Inside G-10(抜粋)
Dollar Gains on Month-End Flows as Treasuries Slip: Inside G-10
◎米国株・国債・商品:株が反発、ハイテク銘柄高いー国債は続伸
30日の米株式相場は反発。前日に付けた12週間ぶり安値から持ち直した。中国との貿易摩擦で世界の経済成長が妨げられるとの懸念が広がる中、米国債は続伸し、利回りは1年8カ月ぶり低水準。原油相場は大幅下落。
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S&P500種株価指数は月間ベースの下げ幅を縮小。午後の取引では200日移動平均線が支持線となった。テクノロジー株の堅調が目立った一方、銀行株は値下がりした。1-3月(第1四半期)の米実質国内総生産(GDP)改定値では、トランプ政権が貿易戦争をエスカレートさせた5月より前には景気拡大が比較的安定した状態にあったことが示された。しかし、米国債利回り曲線の一部で長短金利が逆転していることはリセッション(景気後退)の脅威を意識させている。
S&P500種は前日比0.2%高の2788.86。ダウ工業株30種平均は43.47ドル(0.2%)上げて25169.88ドル。ナスダック総合指数は0.3%上昇。ニューヨーク時間4時50分現在、米10年債利回りは5ベーシスポイント(bp、1bp)低下の2.21%。2日連続で2.22%を下回った。
今週の株式相場の動揺や債券利回り低下は、見通しが不透明であることを投資家が認めつつあること示唆している。中国がレアアース(希土類)輸出を抑制する可能性に加え、米国と欧州連合(EU)の通商協議に有意義な進展の兆しが見られないことも貿易摩擦の激化につながる可能性がある。米国債市場では3カ月物Tビル(財務省短期証券)金利が10年債利回りを上回り、29日には長短逆転の幅が2007年以来で最大となった。逆イールドはリセッションの前兆と見られている。
JPモルガン・アセット・マネジメントのグローバル・マルチアセット戦略責任者、ジョン・ビルトン氏はブルームバーグテレビジョンに対し、「米国債市場で起こっていることは、結局のところ成長見通しのリプライシングだ」と指摘。「逆イールドは通常、リードタイムが長いが、それを考慮に入れても、今後12カ月にリセッション入りするとは予想していない」と述べた。
ニューヨーク原油先物相場は大幅続落。米エネルギー情報局(EIA)の週間統計で米原油在庫の減少幅が市場予想の5分の1にとどまったことから、需要が弱まりつつあるとの懸念が強まった。ガソリン在庫は2週連続で増加した。原油相場は月間ベースでは今年に入って最大の下落となる見通し。ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物7月限は2.22ドル(3.8%)安の1バレル=56.59ドル。終値では3月8日以来の安値となった。ロンドンICEの北海ブレント7月限は2.58ドル(3.7%)下げて66.87ドル。
ニューヨーク金先物相場は続伸。株式相場の低調が支えになったほか、米経済指標では景気の向かい風が強まっていることが示された。4月の米中古住宅販売成約指数は市場の予想に反して低下し、住宅市場が勢いを十分取り戻せていない状況が新たに示唆された。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物8月限は0.5%高の1オンス=1292.40ドルで終了。
原題:U.S. Stocks Snap Slide; Treasury Rally Continues: Markets Wrap(抜粋)
Oil Set for Year’s Worst Month as U.S. Glut Adds to Trade Woes
PRECIOUS: Gold Rise as Equities Waver, U.S. Economy Shows Cracks
◎欧州債:イタリア債が上げ失う、ドイツ債は下げ幅縮小
30日の欧州債市場ではイタリア債が上げを失った。ドイツ債は下げを縮める展開。イタリアのサルビーニ副首相が五つ星運動から税制政策などへの支持が得られない限り、連立崩壊の覚悟はできていると語ったと報じられた。
- イタリア5年債入札では需要が昨年8月以来の高水準で、10年債利回りは5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)下げた場面もあった
- 英国債は下げ幅を縮小。英中銀のラムズデン副総裁はEU離脱が円滑に進めば利上げが必要になるだろうと述べた
- ドイツ10年債利回りは1bp上げてマイナス0.17%、フランス10債利回りは2bp上げて0.25%。イタリア10年債利回りは1bp上昇して2.65%
- ユーロ参加国の国債利回りとスプレッドの一覧はこちらをクリックしてください
原題:Italian Bonds Erase Gains, Bunds Pare Losses: End-of-Day Curves(抜粋)