円全面高、貿易戦争拡大懸念し対ドルで108円台-メキシコペソ急落
小宮弘子
更新日時
東京外国為替市場では円が全面高。トランプ米大統領がメキシコに対する関税賦課を発表し、貿易戦争の拡大懸念からリスク回避の動きが再燃した。レアアースを巡る米中対立激化懸念も加わり、ドル・円は約4カ月ぶりに1ドル=109円台を割り込んだ。
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市場関係者の見方
三菱UFJ銀行グローバルマーケットリサーチの内田稔チーフアナリスト
- これで米国の対中関税第4弾の可能性もやはり高いと市場は改めて認識したと思う。時間も足りず、何か合意できるものがないとすると、G20(20カ国・地域首脳会議)で米中首脳会談自体行われるのかも非常に不透明。円全面高がしばらく続くだろう
- 一方で、イタリア財政やブレグジットで欧州通貨が軟調、豪利下げ観測で豪ドルは上昇が難しい状況で、相対的な高金利通貨というドル人気は一定程度維持されよう。ドル・円もこのまま走る感じではない
- 今晩の米個人消費支出(PCE)デフレーターの伸びが非常に鈍いと米金利は低下。米国さえ減速との見方から株もさえず、ドル・円にはダブルで下押し圧力に
NBCフィナンシャル・マーケッツ・アジアのデービッド・ルー氏(香港在勤)
- 米国を中心とした世界的な貿易問題に対する不透明感や景気に対するリスクが喚起される状況は変わっておらず、相場環境は良くない
- ドル・円は海外時間にかけて、きっかけ次第で1月31日安値(108円50銭)を試しに行く可能性は十分にある
背景
- トランプ米大統領は30日、メキシコが米国への不法移民流入を止めるまでメキシコからの輸入品に5%の関税を課すと表明。発効は6月10日で、ホワイトハウスは声明で関税率が10月1日に最高25%まで達する可能性があると発表
- 事情に詳しい関係者によると、中国は必要なら対米レアアース輸出を規制する計画を準備
- 中国の5月の製造業PMIは49.4と節目の50を3カ月ぶりに割り込み、市場予想(49.9)を下回った
- 貿易戦争拡大による世界景気の減速懸念から東京株式相場は続落し、日経平均株価は前日比341円安で終了。米S&P500種Eミニ先物は時間外取引で一時1%安
- 米10年利回りは4.54ベーシスポイント(bp)低下の2.1679%を付ける場面も
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