債券は上昇、米早期利下げ観測で幅広く買いー償還資金の再投資観測も
山中英典、野沢茂樹債券相場は上昇。新発5年、10年、20年、30年債利回りは2016年以来の低水準を更新した。米連邦公開市場委員会(FOMC)の声明で早期利下げ観測が強まり、米長期金利が2%台を割り込んだことを受けて国内市場でも買いが優勢となった。この日は3カ月ごとの国債大量償還日となり、資金の一部が超長期債を中心に流入したとの見方が出ていた。
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日銀政策決定会合
- 長短金利操作付き量的・質的緩和の維持を賛成多数で決定
- 政策金利のフォワードガイダンスを少なくとも2020年春ごろまで継続
- 午後3時半から黒田東彦総裁が定例会見を行う
- 備考:日銀、金融政策を据え置き、海外経済巡るリスク大きい
市場関係者の見方
- 野村証券の中島武信シニア金利ストラテジスト
- FOMC後の米10年金利はそんなに低下しておらず、1年物金利が一番下がったのを考えると、利下げの織り込み回数が増えたというよりは早めに利下げするということに反応した部分が大きい
- 米長期金利が2%を割ったとはいえ、ここから金利低下が加速していくことも考えにくい
- 黒田総裁会見について、副作用の軽減策にフォーカスして話すかどうかが注目。副作用を強く言及すれば、追加緩和を本気でやる気なんだと捉えられる可能性も
- JPモルガン証券の山脇貴史債券調査部長
- 日銀は今の段階で声明文を変えるわけにはいかない。無風で過ごせるならそうしたいのが本心だろう
- ただ、米連邦準備制度理事会(FRB)が本当に利下げしたら、日銀も円高進行などで追い込まれる恐れも
- パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長
- 今日は国債の大量償還日に当たるため、決定決定会合の結果を見て再投資に動き出した感ある
- 世界中が利下げに向かう中、日本だけ利下げしなければ、円高が進行してますますデフレになりかねないという状況も超長期債を支えている面ある
- 一方、日銀決定会合では政策金利のフォワードガイダンスも据え置かれ、中短期債を買う理由はなくなった
背景
- 19日の米10年国債利回りは前日比4bp低下の2.02%程度。この日の時間外取引では1.97%台と16年以来の2%台割れ
- 外国為替市場のドル・円相場は一時1ドル=107円台半ばまで円高・ドル安が進行
- FOMCは参加者17人のうち8人が年内の利下げ予想。声明で辛抱強くなるの文言削除
新発国債利回り(午後3時時点)
2年債 | 5年債 | 10年債 | 20年債 | 30年債 | 40年債 | |
-0.230% | -0.260% | -0.165% | 0.185% | 0.300% | 0.335% | |
前日比 | -1.5bp | -2.0bp | -2.5bp | -3.0bp | -3.5bp | -3.5bp |
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