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日産の妥協案をルノーが受け入れ、株主総会での全面対立回避へ

更新日時
  • 取締役会議長にJXTG相談役木村氏、ルノーCEOは監査委に
  • 直前まで厳しい交渉、20年以上続いたアライアンスの関係にひずみ

日産自動車は21日、ガバナンス向上を目的とした指名委員会等設置会社への以降に伴う取締役人事の詳細を発表した。筆頭株主のルノーからの委員会ポスト増の要求に日産が受け入れたことで、ルノー側も歓迎の意を表明。株主総会で議案が承認されない最悪の事態は避けられる見通しとなった。

Nissan, Renault and Mitsubishi Motors Heads Hold News Conference as Ghosn Seeks to Regain Clout

ルノーのスナール氏(右)とボロレ氏

Photographer: Toru Hanai/Bloomberg

  日産は同日未明、独立社外取締役委員会から委員会設置会社移行後の新体制に関する提案を受けたと発表した。それによると取締役会議長は取締役就任予定の木村康氏(JXTGホールディングス相談役)が就任。ルノーのジャンドミニク・スナール会長が副議長に就くほか指名委員会にも入り、ティエリー・ボロレ最高経営責任者(CEO)は監査委員会の委員を務める。

  新設される委員会でのポストの数を不服としてスナール会長は先に、25日開催予定の日産株主総会で、委員会会社への移行に必要な定款変更に関する議案について投票を棄権する考えを示し、日産側はこれに妥協する形でポストを増やす案をルノー側に提示していた。

  ルノーは20日の発表文で、「日産の新ガバナンス体制にルノーの代表者が加わるとの合意は、アライアンス内に存在する対話と相互尊重の精神を裏付けるものだ」と日産の決定を歓迎する見解を示した。

  日産はカルロス・ゴーン前会長を巡る一連の問題を受け、権限の集中を改めるためのガバナンス改革を進めてきた。委員会設置会社への移行はその柱の一つで社外取締役を中心に各委員会を統率させ、透明性を高める計画だったが、筆頭株主のルノーが株主総会での議案承認を棄権した場合、決議できずに改革が頓挫する可能性もあった。

  昨年11月の前会長の逮捕を契機に、20年以上にわたって友好関係を続けてきた両社の間にきしみが生じている。委員会会社への移行を含む株主総会の上程議案はスナール氏を含む取締役会で5月に決定していたが、ルノー側は今月に入って突如、決議の棄権の意向を伝えてきた。

  日産は今週の早い段階でルノーに妥協案を示したものの、その後も厳しい交渉が続いた。19日の時点である関係者は交渉がまとまらないことも覚悟しており、新体制の取締役のもとで任意の委員会を設置して対応する可能性も示していた。

(日産の発表内容や背景情報を追加して更新しました.)
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