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Photographer: Akio Kon/Bloomberg
Cojp

日銀、7月会合でフォワードガイダンス延長もー門間前理事

  • 米利下げで円高が急速に進むリスクは非常に小さい
  • 長期金利の変動幅拡大「十分あり得るのではないか」

日本銀行前理事の門間一夫氏は、早ければ29、30両日の金融政策決定会合で政策金利のフォワードガイダンス(指針)が延長される可能性もあるとの見方を示した。

  9日のインタビューで、「当分の間、少なくとも2020年春ごろまで現在の極めて低い長短金利の水準を維持する」という指針について、7月か10月会合で期間を延長する可能性が十分あると指摘。10月まで待てば残り半年程度になるため、「今回変えてしまった方がいいという単純な発想はあり得る」と述べた。

Federal Reserve Bank Of Chicago President Charles Evans Joins IMF Panel

門間一夫氏

  

  日銀は昨年7月、消費増税の影響を含めた経済・物価の不確実性を踏まえ、「当分の間、現在の極めて低い長短金利の水準を維持する」という指針を導入。4月に継続時期を明確化した。

  門間氏は「もともと20年春が過ぎたら必ず金利を上げるとは誰も言ってないし、最近は黒田東彦総裁を含め政策委員は20年春を過ぎても続ける可能性があると強調しているので、延長しても実質的にほとんど変わらず現状追認だ」との見方を示した。

  世界経済については、米中貿易摩擦を巡るリスクはあるものの、「景気後退に陥る可能性は低い」とみる。日銀会合は米連邦公開市場委員会(FOMC、30~31日)の直前に開かれるが、仮に米国が利下げするとしても予防的なものであり、市場に十分織り込まれているため、「円高が急速に進むリスクは非常に小さい」と予想。日銀の政策決定に「何ら影響を与えない」とし、実質的な金融緩和を「しなければならないという議論にすらならない」と述べた。

長期金利の変動幅拡大

  黒田総裁が6月20日の会見で、「おおむね上下0.1%の倍程度」としている長期金利0%目標の変動幅を「ある程度弾力的に対応していくことが適当」と述べたことを受けて、新発10年債利回りは翌21日、一時マイナス0.195%と16年7月以来の水準に低下した。

  門間氏は、世界的に低下圧力が強い中で無理に金利低下を止めると日銀だけが金融緩和に逆行していると見られかねない上、マネタリーベース増加を約束したオーバーシュート型コミットメントもあるため、「国債買い入れの思い切った減額はやりにくい」と指摘。「ある程度自然体で金利が下がるのを許容せざるを得ない」と予想した。

  市場の一部には、追加緩和手段として長期金利の変動幅拡大を見込む向きもある。門間氏は「金融調節の柔軟性を高めることになるし、柔軟性を高めることは枠組みの強化にもなる」と説明。いずれ世界経済が好転すれば金利を上方シフトさせることが可能になり、長短金利操作を「なし崩し的に廃止する」ためのステップとしても「十分あり得るのではないか」とみている。

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