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8月23日の海外株式・債券・為替・商品市場

欧米市場の株式、債券、為替、商品相場は次の通り。

◎NY外為:円が上昇、通商対立さらに激化で逃避通貨に買い

  23日のニューヨーク外国為替市場では、円とスイス・フランが上昇。中国が750億ドル(約8兆円)相当の米製品に追加関税を課すと発表した後、トランプ米大統領が対応策を発表する意向を明らかにし、投資資金が安全資産に流入した。ドル指数は一時、年初来高値を付けたが、その後大幅な下げに転じた。

  • 円は対ドルで今月1日以来の大幅高。対ユーロでは2017年4月以来の高値を付けた。米国債利回りが幅広い年限で低下し、株式相場は大幅安となった
  • トランプ氏は米金融当局をあらためて批判。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は中国の習近平国家主席より大きな敵かもしれないとツイート
  • パウエル議長はワイオミング州ジャクソンホールで開催されたシンポジウムで講演し、米国の景気拡大を維持するために金融当局は適切に行動すると述べた
    • トランプ氏は議長の講演後、米国には強いドルと「非常に弱いFed」があるともコメント。米国が市場への介入や、その他の行動を起こす可能性があるとの観測が広がった
  • パウエル議長は講演で、米経済は望ましい状況にあるものの、貿易を巡る不確実性の中で国外経済が減速しており、「著しいリスク」に直面しているとの認識も示した
    • スタンダードチャータードのG10外為調査グローバル責任者、スティーブン・イングランダー氏は講演を受け、「極めてハト派的な発言はなかった」とした上で、次回の連邦公開市場委員会(FOMC)会合で0.25ポイントの利下げをすることは示唆したと電子メールでコメントした
  • ニューヨーク時間午後4時39分現在、ブルームバーグ・ドル・スポット指数は0.4%低下
  • 円はドルに対して0.9%高の1ドル=105円44銭。スイス・フランは対ドルで0.8%高の1ドル=0.9755フラン
  • ユーロはドルに対して0.5%上昇し、1ユーロ=1.1138ドル

欧州時間の取引

  ブルームバーグのドル指数は、パウエル議長の講演を控えて年初来高値近辺で推移した。

原題:Haven Currencies Surge as Trade Conflict Worsens: Inside G-10(抜粋)
Traders Stay Bullish on Dollar Before Jackson Hole: Inside G-10(抜粋)

◎米国株・国債・商品:株が大幅安、米中貿易対立の激化を懸念

  23日の米国株相場は大幅安。米国債は上昇した。中国がこの日発表した対米追加関税に関してトランプ米大統領が対応策を発表する意向をツイッターで示し、貿易戦争がエスカレートするとの懸念が強まった。トランプ氏はまた、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長を再び批判した。外国為替市場ではドルが下落。

  • 米国株は大幅安、米中貿易対立が激化するとの懸念強まる
  • 米国債は上昇、2年・10年利回り格差は逆イールドに近づく
  • NY原油は下落、中国が米国産原油などへの追加関税発表
  • NY金は上昇、6年ぶり高値-貿易戦争の激化を懸念

  中国が合計750億ドル(約8兆円)相当の米国製品に追加関税を課すと発表したことを受けて、株式相場は朝方から下落。その後、パウエル議長の発言で9月に追加利下げがあるとの見方が強まり、S&P500種株価指数は一時プラス圏に浮上する場面もあった。だが、トランプ大統領のツイート後は下げに転じた。エネルギー株とテクノロジー株が特に安い。ダウ工業株30種平均は一時745ドル下落。構成する30銘柄中で上昇したのはボーイングのみ。ナスダック100指数も3%超の値下がり。

  米国債市場では、2年物と10年物の利回り差が縮小し、再び逆イールドに近づいた。長短金利が逆転する逆イールドは、リセッション(景気後退)を示唆するとされる。また3カ月物と10年物の利回り差は逆イールドが進み、その差は2007年3月以降で最大となった。

  S&P500種株価指数は前日比2.6%安の2847.11。ダウ工業株30種平均は623.34ドル(2.4%)下げて25628.90ドル。ナスダック総合指数は3%下落。米国債市場では、ニューヨーク時間午後4時43分現在、10年債利回りが8ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下し1.533%。2年債利回りは8.3bp下げて1.529%。

  ハンティントン・プライベート・バンクのジョン・オーガスティン最高投資責任者(CIO)は「貿易がジャクソンホール会合に勝った」と分析。「パウエル議長はきょう非常にハト派寄りで市場は前向きに反応したが、貿易に関するツイートが出たとたん、市場のダイナミクスが変化したのは間違いない」と述べた。

  またウェルズ・ファーゴ・インベストメント・インスティテュートのシニアグローバル株式ストラテジスト、スコット・レン氏はブルームバーグテレビジョンのインタビューで、「全ては貿易次第、世界の成長次第だ」とし、「金融政策については、市場はそれほど懸念していない。世界の成長と貿易協議に対する不安の方がずっと強い」と述べた。

  ニューヨーク原油先物相場は下落し、2週ぶり安値。中国が米国産原油などへの追加関税を明らかにしたことが背景にある。また、その後トランプ米大統領が対応策を発表する意向を示したことで、貿易戦争がエスカレートするとの懸念も広がった。ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物10月限は1.18ドル(2.1%)安の1バレル=54.17ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント10月限は58セント下げて59.34ドル。

  ニューヨーク金先物相場は上昇し、6年ぶり高値を付けた。米中貿易戦争の激化や、パウエル議長が、米経済は世界の成長減速に伴う「著しいリスク」に直面していると指摘したことが背景。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物12月限は1.9%高の1オンス=1537.60ドルで引けた。
  
原題:Stocks Sink, Bonds Gain as U.S.-China Feud Deepens: Markets Wrap(抜粋)
Oil Sinks as China Targets U.S. Crude With Tariffs in Trade War
Gold Advances as Tariff War and Remarks by Powell Stoke Demand

◎欧州債:ドイツ債中心にユーロ圏国債上昇、安全逃避買い

  23日の欧州債市場でドイツ債が上昇。米中の通商関係で緊張が高まる中、米国債が上昇した。イタリア債は新政権樹立を目指した交渉の結果を控えて、ほぼ変わらず。

  • ドイツ債がユーロ圏国債の上げをけん引。安全への逃避に伴う米国債の上昇が背景。中国が対米追加関税を発表したことを受け、トランプ米大統領は23日午後に対応策を発表すると表明した
  • 英国債はブルスティープ化。安全資産としての買いが入った
  • ドイツ10年債利回りは3ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)下げてマイナス0.67%、フランス10年債利回りは1bp下げてマイナス0.37%。イタリア10年債利回りは1bp下げて1.30%
  • ユーロ参加国の国債利回りとスプレッドの一覧はこちらをクリックしてください

原題:German Bonds Lead Euro-Area Haven Gains; End-of-Day Curves(抜粋)

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