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9月東京コアCPIは0.5%上昇、伸び縮小-昨年5月以来の低水準

更新日時
  • エネルギーは前年比0.9%下落、17年4月以来のマイナス転換
  • 企業側は価格上げれば消費が下がってしまうと危惧-農林中金の南氏

全国の物価の先行指標となる9月の東京都区部の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は前年比0.5%上昇となった。伸び率は前月から縮小し、2018年5月以来の低水準。市場予想を下回った。エネルギーは17年4月以来のマイナスに転じた。総務省が27日発表した。

キーポイント

  • 東京都区部コアCPIは前年比0.5%上昇(ブルームバーグの予想中央値は0.6%上昇)、上昇は27カ月連続-前月は0.7%上昇
  • 生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPIは0.6%上昇(予想は0.6%上昇)ー前月は0.7%上昇
  • 総合CPIは0.4%上昇(予想は0.5%上昇)-前月は0.6%上昇

           

東京都区部CPIの推移

    エコノミストの見方

    農林中金総合研究所の南武志主席研究員:

    • 企業物価など川上で消費財の価格は鈍化している。円高や資源高などコスト高を価格転嫁する動きに水を差している
    • 企業側は消費が鈍くて、価格を上げると消費が下がってしまうと危惧している。駆け込み需要がここ最近になって出ているという報道があるが、これまでと比べると消費が鈍い
    • そもそも賃金の動きが今年に入って弱まっていて、夏季賞与も弱かった。消費全体を抑制している

    三菱UFJモルガン・スタンレー証券の戸内修自シニアマーケットエコノミスト:

    • エネルギー価格の寄与度減少が東京の物価上昇率減速に大きく影響した
    • 今後は消費増税や教育無償化で見えにくくなるが、物価の基調は減速傾向を継続するとみている
    • 増税と教育無償化の影響を除けば全国の物価は0.1%程度まで落ちる可能性もある
    • そうなるとインフレ期待への影響もさらに懸念される。日本銀行が来月に追加緩和を行う可能性も十分ある

    詳細

    • コアCPIの上昇率0.5%は、18年5月以来1年4カ月ぶりの低水準-総務省担当者
      • 低下要因は、エネルギー価格や教養娯楽用耐久財(昨年9月プリンターの新製品が上昇寄与した反動)、外国パック旅行(9月は下がる季節的動き、昨年水準が高めだった反動)
    • 家庭用耐久財の上昇は、明確に消費増税によるものかわからない。ルームエアコン、電気炊飯器、洗濯機など新製品の出回りがあって上がっている-総務省
    • 消費増税による価格面への影響は、10月にならないとわからない-総務省
      • 10月に増税で2%上がるもの、軽減税率で変わらないもの、制度変更で下がるものなど混在するため

    背景

    • エネルギー価格の下押し圧力が続く。先行きもエネルギーがコアCPIの伸びを抑える公算が大きい
    • 日本銀行は19日の金融政策決定会合後の発表文で、海外経済の下振れリスクの高まりに言及した上で、物価の勢いが「損なわれる恐れについて、より注意が必要な情勢になりつつある」と警戒感を表明。次回会合で経済・物価動向を再点検する方針を示した
    • 日銀の政井貴子審議委員は25日の講演で、日銀が掲げる物価2%目標の実現に向けたモメンタム(勢い)は「再び強まる兆しがみられる」との認識を示す一方、海外経済を巡るリスクを念頭に必要があれば追加緩和もあり得ると語った
    (詳細を追加し、エコノミストコメントを差し替えて更新しました。)
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