Photographer: Toru Hanai/Bloomberg
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9月の貿易収支は3カ月連続赤字、輸出低調-上期は2期連続赤字
占部絵美
更新日時
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9月貿易収支は1230億円の赤字-市場予想は540億円の黒字
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日本の景気後退懸念が今後強まる可能性がある-農中総研の南氏
輸出から輸入を差し引いた日本の貿易収支は9月速報で1230億円の赤字だった。3カ月連続の赤字。市場予想では黒字が見込まれていた。アジア向けの半導体等製造装置や自動車関連などの輸出が落ち込んだ。2019年度上期(4-9月)の貿易収支は2期連続の赤字となった。財務省が21日発表した。
キーポイント |
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エコノミストの見方
農林中金総合研究所の南武志主席研究員:
- 輸出は米中貿易摩擦や中国経済減速の影響などを受け、引き続き停滞している
- 米中貿易交渉の進展が今後の世界貿易を回復に導くとの期待があるが、少なくとも足元のデータはまだ楽観を許さない
- 世界経済が脆弱(ぜいじゃく)な中で日本の景気後退懸念が今後強まる可能性がある。外需が弱い中で消費増税後の消費がどうなるかが非常に重要
- 景気が大きく悪化しているわけでもなく、為替も安定している中で、日本銀行は今月末の会合では現行政策を維持する可能性が高い。その場合でも今後の期待をつなぎとめるため緩和姿勢を強く出すのではないか
詳細
- 9月の貿易収支
- 対米貿易黒字は7カ月ぶり減少、自動車・同部品や航空機エンジン部分品の輸出減-財務省担当者
- 対中国は18カ月連続の赤字、自動車部分品や半導体製造装置などの輸出減-財務省
- 韓国向けは半導体製造装置などの輸出が減少。輸出入動向はさまざまな要因の影響を受けるため、不買運動の影響など特定の要因を指摘することは難しい-財務省
- 対EUは3カ月ぶり赤字、英国向け航空機エンジン部分品やリチウムイオン蓄電池などの輸出減-財務省
- 4-9月
- 中国向け自動車部分品、半導体製造装置、半導体電子部品、鉄鋼などの輸出減。対中国は2期連続の赤字幅拡大-財務省
- 中国経済が緩やかに減速している影響を受けた可能性がある。輸出額は9月としても歴代3位、水準自体は依然高い-財務省
背景
- 政府は10月の月例経済報告で、「輸出を中心に弱さが長引いている」として総括判断を5カ月ぶりに下方修正した。一方、景気は「緩やかに回復している」との表現は残した
- 8月の景気動向指数では、一致指数の基調判断が景気後退の可能性が高いことを示す「悪化」に引き下げられた
- こうした景気判断の下方修正は、世界的な貿易摩擦や海外経済減速などによる輸出や生産の鈍化が背景
- 中国の9月の貿易統計では輸出、輸入ともに市場予想よりも減少した。米国の関税や世界貿易の減速継続で需要が損なわれた
(19年度上期の数値と詳細を追加、エコノミストコメントを差し替え更新しました)
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