【先週の新興国市場】米中交渉への楽観やシリア停戦で株・通貨上昇
Bloomberg News-
シリアでの軍事行動休止でトルコと米合意、アラムコIPO発表延期
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中国7-9月は6%成長-90年代前半以降で最も小さい伸び
先週の新興国市場では、株式と通貨がともに上昇した。英国が合意なしの欧州連合(EU)離脱を回避する可能性や米中通商対立の緩和、トルコが米国による一段と厳しい制裁を避けられる見込みを巡って投資家の楽観的なムードが強まった。MSCI新興国通貨指数は約3カ月ぶりの高水準。株式の指数は2週連続のプラスとなった。
10月18日終了週の新興国市場の主なニュースは以下の通り。
主なニュース:
- 中国は、「第1段階」の通商合意の一環だとトランプ大統領が主張する年間最大500億ドル(約5兆4200億円)相当の米農産物購入には、米国の関税撤廃が必要だとみている。事情に詳しい関係者が明らかにした
- トルコはシリアでの軍事行動を一時休止することで米国と合意。かつて米国と同盟関係にあったクルド人武装勢力が国境地域から退去すれば、休止期間を延長するという。アンカラを訪問したペンス米副大統領が発表した
- 軍事行動の休止は120時間。合意内容の解釈が分かれているため、トルコ軍とクルド人民兵組織「人民防衛部隊(YPG)」との間で小競り合いが続いていると報じられるなど、その実効性が疑問視されている
- サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコは新規株式公開(IPO)の正式なプロセス開始を延期した。状況について説明を受けた複数の関係者が明らかにしたもので、少なくとも数週間の遅れが生じる見込みという
- 米下院は香港に高度の自治を認めた「一国二制度」が守られているかどうか毎年検証することを義務付ける香港人権・民主主義法案を可決した
- 上院にも同内容の法案が提出されており、超党派の支持を得ている。法案成立にはトランプ大統領の署名が必要となる。中国外務省は、同法案を可決・成立させた場合は強力な措置を講じると表明
- 中国経済は7-9月(第3四半期)に一段と減速。国内総生産(GDP)が前年同期比6%増と、1990年代前半以降で最も小さな伸びにとどまり、エコノミスト予想の6.1%を下回った。4-6月(第2四半期)は6.2%増だった
資産別指数(シンガポール時間10月18日午後4時20分現在) | 週間 |
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MSCI新興市場指数 | 1.2% |
MSCI新興国通貨指数 | 0.3% |
ブルームバーグ・バークレイズ新興市場の自国通貨建て国債指数 | 0.01% |
アジア:
- 米国務省の当局者は、中国による米国内の大学・研究機関への訪問や地方政府当局者との面会について事前通告を義務付けたことを明らかにした。在米中国大使館はウィーン条約に反する措置だと抗議
- 韓国銀行(中央銀行)は金融通貨委員会で政策金利である7日物レポ金利を0.25ポイント引き下げ、従来の過去最低と並ぶ1.25%とすることを決定。利下げは今年2回目
EMEA:
- ポーランド総選挙で右派与党「法と正義」が勝利。この先4年間にわたり政権を再び握る。同党は近代的な福祉国家を築き、その反自由主義的な価値観を市民生活のあらゆる分野に求めていく運動を完遂させるとの公約で、有権者の票を集めた
- 南アフリカ共和国の経営難の国営電力会社エスコムは、送電網の完全崩壊を防ぐため2日目の計画停電を実施した。同国の景気回復を損ないかねない措置。政府は月内にエスコム改革案を発表する見込み
中南米:
- ブラジル中銀の週次調査によると、同国エコノミストらは今年と来年のインフレ見通しを引き下げた。2020年末の政策金利予想も5%から4.75%に下げた。9月の消費者物価指数が市場予想に反して低下したことを受けた
- アルゼンチンの9月の消費者物価指数は前月比5.9%上昇と、1年ぶりの大幅な伸び。前年同月比の上昇率は53.5%となった。今月27日の大統領選本選挙を前に一連の経済指標はさえず、ペソは大幅に下落している
今後発表のデータ |
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原題:U.S.-China Deal Optimism, Turkey Truce Lifts Assets: EM Review(抜粋)
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