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サウジアラムコの評価額、皇太子が掲げた2兆ドルに届かず-来月上場

更新日時
  • 最大1兆7100億ドルの評価額目指す-株式1.5%を公開へ
  • リテール投資家への貸し出し上限引き上げ-国内投資家の需要喚起

サウジアラビアは、国営石油会社サウジアラムコの新規株式公開(IPO)の評価額目標をムハンマド皇太子が掲げていた2兆ドル(約220兆円)を大きく下回る水準に設定した。来月のサウジ証券取引所(タダウル)上場を成功させるため規模を抑制した。

  サウジアラビア通貨庁(SAMA)は、IPOでアラムコ株を取得するリテール投資家への貸し出し上限について、通常のIPOの2倍に引き上げた。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。担当バンカーが今回のIPOのメリットについて多くの海外機関投資家を納得させられなかったため、国内投資家の需要を喚起する措置を取った。

  アラムコがタダウルで公開するのは同社株式のわずか1.5%と、これまで検討していた規模の半分程度となる。1兆6000億-1兆7100億ドルの評価額を目指している。

  その水準でも米アップルを抜いて世界最大の公開企業となるが、ムハンマド皇太子が当初描いていた構想は、国内と海外の上場で最大1000億ドルを同国の政府系ファンドにもたらすことだった。

World's Biggest IPO?

At the top end of range, Aramco's IPO would be bigger than Alibaba's

* World record IPO; Source: Bloomberg;

  海外投資家の冷ややかな反応は、当初計画していた米国とカナダでの募集を見送ることにつながった。ただ、今回のIPOに取り組んでいるバンカーらは、提示されたバリュエーションで成功する上で十二分の国内需要を確保していると話した。

  17日に更新された目論見書によると、仮条件は1株30-32リヤル。アラムコは12月5日に最終的な条件とバリュエーションを明らかにする。米国とオーストラリア、カナダ、日本では公募を行わない。上場日はまだ発表されていない。

  IPOで調達された資金は、サウジの政府系ファンド、パブリック・インベストメント・ファンド(PIF)に入る。PIFはソフトバンク・ビジョン・ファンドに450億ドル出資している。

  最終的なバリュエーションがどうであれ、比類ない収益性を備えた上場企業が誕生する。アラムコの2018年の純利益は1110億ドル、売上高は3150億ドルだった。

Profit King

Saudi Aramco’s profit = Apple + Google + Exxon Mobil

Source: Moody's Investors Service, Bloomberg

原題:
Saudi Arabia Cuts Aramco Valuation, Boosts Loans to Get IPO Done(抜粋)

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