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12月貿易収支は2カ月連続赤字-自動車不振で輸出13カ月連続減

更新日時
  • 12月貿易収支は1525億円の赤字-輸出は6.3%減、輸入は4.9%減
  • 19年貿易収支1兆6438億円の赤字-輸出5.6%減で3年ぶりマイナス

輸出から輸入を差し引いた日本の2019年12月の貿易収支は1525億円の赤字と、2カ月連続の赤字だった。輸出は自動車関連が振るわず、13カ月連続で減少した。年間の貿易収支は1兆6438億円の赤字と、2年連続の赤字となった。財務省が23日発表した。

 

キーポイント

  • 12月の貿易収支は1525億円の赤字(ブルームバーグ調査の予想中央値は1526億円の赤字)-前月は852億円の赤字
    • 輸出は前年同月比6.3%減(予想は4.3%減)の6兆5771億円と13カ月連続減少-前月7.9%減
      • 輸出数量指数は1.9%減
    • 輸入は4.9%減(予想は3.2%減)の6兆7296億円と8カ月連続減少-前月15.7%減
  • 19年の貿易収支は1兆6438億円の赤字、2年連続の赤字-前年は1兆2246億円の赤字
    • 輸出は対前年比5.6%減の76兆9278億円と3年ぶり減-前年は4.1%増
    • 輸入は5.0%減の78兆5716億円と3年ぶり減-前年は9.7%増

   

 

輸出は13カ月連続で前年割れ

     

エコノミストの見方

バークレイズ証券の前田和馬エコノミスト:

  • 輸出は引き続き低調。世界的に新車販売が弱く日本の自動車輸出にも影響を及ぼしている
  • グローバルにPMIなどは良くなってきているが、センチメントの改善にとどまる
  • 輸出が今後どんどん弱含んでいくとはみていないが、明確な回復までには時間がかかるだろう。IT関連の調整底打ちなどは明るい材料。輸出の回復をさせる方向に働く
  • 日本銀行は既に輸出の先行きについては弱いとみている。今日の指標で景気の見方を変えることはないだろう。しばらく政策維持が続くとみている

野村証券の髙島雄貴エコノミスト:

  • 名目輸出だけでなく名目輸入ともに市場予想を下振れ、弱いという判断
  • 野村が試算した季節調整で実質化した輸出は、前月比0.4%減と3カ月連続マイナスと弱い
  • 一般機械の実質輸出が5カ月ぶりに前月比6.3%増加に転じ、輸出底打ちの理由として世界的なITサイクルの回復局面が言われていたが、一般機械にも波及したのではないか。今後、設備投資につながるかもしれない
  • 中国の12月貿易統計では輸出も輸入も強く、同月の名目輸出プラス転換に違和感はない。四半期でも10-12月は一般機械がプラスに転じている
  • 米国は四半期で見ても弱い。季節調整で実質化した値では一般機械が前月比若干プラスに転じ、回復の兆候は見られるが、弱い状況が続いている

詳細(財務省の説明)

  • 19年輸出は全世界的にマイナス、特に中国の落ち込みが大きい。対米、対EU、対中はいずれも3年ぶり減少
    • 米国向け1.4%減、自動車や同部分品が減少
    • EU向け2.8%減、マルタ向けタンカー、英国向け医薬品などが減少
    • 中国向け7.6%減、ギアボックスなど自動車部分品や液晶デバイス製造用の半導体製造装置の輸出が減少
  • 12月輸出は米国向けが14.9%減、5カ月連続マイナス。自動車やギアボックス、航空機エンジン部分品などが減少
    • 欧州向けは8.1%減、5カ月連続マイナス。オランダ向け建設・鉱山用機械や自動車などが減少
    • 中国向けは0.8%増、10カ月ぶりプラス。液晶デバイス製造用半導体製造装置、ハイブリッド自動車などの輸出が増加

背景

  • 中国の貿易統計では、ドルベースでの19年輸出が前年比0.5%増えた一方、輸入は2.8%減った。輸出総額は世界的な需要の高まりから増加したが、米中貿易戦争のあおりで対米貿易は減少
  • 国際通貨基金(IMF)は20年の日本の成長率見通しを0.7%に引き上げた。新興国経済の鈍化を映して世界経済が下方修正された一方、日本は外需の下振れを経済対策が補うとみられている
  • 1月の月例経済報告では日本経済の総括判断が据え置かれた。輸出については13カ月連続で「弱含んでいる」との判断を示している
(詳細を追加し、エコノミストコメントを差し替えて更新しました)
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