コンテンツにスキップする
Subscriber Only
Photographer: Soichiro Koriyama/Bloomberg
Cojp

香港の代わりは日本、国際金融都市へ「メッセージ必要」-財務副大臣

  • 税制改正や予算編成過程で「良い議論の着地点ができればいい」
  • 中西氏は元JPモルガン証券副社長、国際・金融担当の副大臣に起用

1日を始める前に押さえておきたい世界のニュースを毎朝お届け。ブルームバーグのニュースレターへの登録はこちら。

中西健治財務副大臣は、中国からの香港への統制が強まる状況は日本が国際金融都市を形成する好機であり、税制・制度面で「何らかのクリアなメッセージを日本政府として出せなければならない」との考えを示した。7日のブルームバーグとのインタビューで話した。  

  中西氏は、法人税や相続税、所得税を香港やシンガポール並みの税率にすることはできないとの認識を示したものの、来年度に向けた税制改正や予算編成過程で「良い議論の着地点ができればいい」と話した。シンガポールも外国人労働者へのビザ再発行要件が厳しくなっており、日本に「追い風が吹いている」という。 

日本香港シンガポール
法人税23.2%8.25%/16.5%17%
相続税10~55%   ー   ー
所得税(最高税率)45%17%22%

              出所:財務省やJETROの各種資料やウェブサイト

  9月に発足した菅義偉政権は香港に代わるアジアの国際金融拠点の設立を目指している。元JPモルガン証券副社長の中西氏は税制や国際・金融関係担当の財務副大臣に起用された。


  菅首相は税制上の措置や行政の英語対応などにスピード感を持って取り組む姿勢を示している。金融庁は、来日前の海外資産を相続税の対象外にすることや、非上場企業の業績連動役員報酬を法人税の損金算入の対象にする税制改正要望を提出した。

LDP Member Kenji Nakanshi

中西健治財務副大臣

Source: Office of Kenji Nakanishi

  中西氏は香港などから資産運用業を誘致できれば、証券会社や会計事務所、弁護士事務所などの関連産業が集まる一大産業の集積地が形成でき、「日本の経済にはプラスになる」とみている。

  ただ、東京証券取引所のシステム障害による終日売買停止への海外での関心が日本に比べて薄かったことを挙げ、「すごく厳しい現実があるのではないか」との懸念も示した。

  実際、過去30年にわたり国際金融都市に向けた取り組みが進められてきたにも関わらず、経済低迷や金融危機に見舞われ、十分な成果は上がっていない。法人税の引き下げも実施してきたが、香港やシンガポールに比べると高い水準にとどまる。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE