高税率州の米民主議員揺さぶり、SALT控除上限撤廃で働き掛け強化
Laura Davison-
ニュージャージー州のゴットハイマー議員がイエレン財務長官に書簡
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内国歳入庁の徴税率向上によって税収の落ち込みはカバー可能と主張
米国の州・地方税(SALT)の税額控除の上限を1万ドル(約108万円)とした2017年の税制改革を巡り、税率が高い州を代表する民主党議員の一部は上限撤廃を長期の経済プログラムに盛り込むよう求め、バイデン政権への働き掛けを強めている。
バイデン政権がSALT税額控除の上限撤廃をあくまで受け入れない場合、高税率州の民主党議員の間には政権のインフラ計画や社会保障プログラムを頓挫させることも辞さない構えも想定される。
こうした州の1つであるニュージャージー州選出のゴットハイマー下院議員は21日、イエレン財務長官に書簡を送り、内国歳入庁(IRS)の徴税率を向上させれば、SALT税額控除の上限撤廃に伴う税収の落ち込みをカバーするだけでなく、インフラ計画のための財源の多くの部分の確保にもつながると訴えた。
IRSのレティグ長官は今月、税額として調定計上した額と実際の税収額との差が年間最大1兆ドルに上る可能性があるとの推計を示した。ゴットハイマー議員は、こうしたギャップを埋めることで、家計の税負担引き上げや税制の複雑化を招くことなく同上限撤廃などを実現することが可能だとしている。
バイデン大統領は近日中に長期経済計画の第2弾として社会保障プログラムを発表する見通し。先月打ち出したインフラ計画にはSALT税額控除上限の問題への言及はなかった。ホワイトハウスはこれまで、上限撤廃が歳入の減少につながるとして、政権の計画に盛り込む要求には冷ややかな態度だ。
また、SALT税額控除の上限撤廃は主に高所得層が恩恵を受けるとの分析もあり、富裕層増税を検討している民主党には政治的ジレンマともなる。イエレン長官は先に、税額控除を巡って納税者間の「異なる扱い」を是正するため議会と協力する意向を示す一方、特定の案にはコミットしていない。
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原題:SALT Cap Critics Ask Yellen to Add Repeal to Biden Economy Plan、SALT Cap Revolt Led by N.Y. Democrats Snarls Biden Spending Plan(抜粋)