コンテンツにスキップする
Subscriber Only

東芝株主の3Dが取締役会に書簡-戦略的見直しを求める

更新日時
  • 完全かつ公平なプロセスが不可欠-3Dインベストメント
  • 東芝の適正価値は1株当たり6500円超との見方示す

シンガポールを拠点とする3Dインベストメント・パートナーズは、英投資会社CVCキャピタル・パートナーズから株式非公開化の提案を受けた東芝に対し、戦略的見直しを実施するよう促した。

  3Dインベストメントは東芝の株式7.2%を保有する第3位の株主。東芝取締役会に書簡を送り、投資家の信頼を再構築するには完全かつ公平な売却プロセスが不可欠だとの考えを伝えた。

  東芝は昨年の定時総会での取締役選任を巡る再調査などを求めるエフィッシモ・キャピタル・マネジメントの提案が先月の臨時株主総会で可決され、車谷暢昭社長兼最高経営責任者(CEO)が今月辞任するなど混乱が続いている。

東芝の臨時総会でファンド提案可決、「株主の権利」に支持広がる

東芝が綱川体制で再出発、株主との関係改善や経営計画見直しへ

  3Dインベストメントは、「公平かつ適切なプロセスを実施することで、東芝は代替的な所有構造に対しオープンであることを明確にし、経営陣と取締役会が上場企業であり続けることを強く望んでいるとするメディアの臆測を是正すべきだ」としている。ブルームバーグが書簡のコピーを入手した。

  3Dインベストメントは、東芝の適正価値が1株当たり6500円を超えるとみているが、企業価値を判断するため完全な売却プロセスを実施すべきだとした。レビューを求めた前回の要請に対し、東芝会長が返答しなかったことに失望したとしている。

  事情に詳しい関係者1人によると、東芝が入札を行わない場合、3Dインベストメントは今年の年次株主総会で東芝が推す取締役候補に反対票を投じるよう働き掛けることや、取締役入れ替えのための株主総会開催を求める用意があるという。

東芝株が5日ぶり反発、ベインが買収案の策定を検討との報道

  東芝は20日、CVCから受けていた非上場化を趣旨とする買収提案について、同社から「暫時検討を中断する」という内容の新たな書面を受領したと発表した。

  事情に詳しい複数の関係者によれば、CVCは資金調達で複数の金融機関から非公式なコミットメントを確保しており、米投資会社ベイン・キャピタルを含むパートナー候補と協議を続けている。情報の非公開を理由にこれら関係者が語ったところによれば、シティグループがCVCに助言している。

  CVCとシティグループ、ベインの担当者はコメントを控えており、東芝からも現時点でコメントは得られていない。

  3Dインベストメントの書簡はさらに、東芝には善意の関心表明を検証する株主への義務があると指摘。それを実施することが良いガバナンスの責務と合致し、株主の信頼再構築に向けた重要な一歩になるとした。

  新たな所有構造の検討を含め、「全てのステークホルダーのために東芝が非常に大きな可能性を実現できるようにすることにわれわれは照準を定めている」とした。

  東芝の広報担当者は3Dインベストメントから26日に書簡が届いたことを認めたが、3Dへの返答についてはコメントを控えた。

  その上で「現時点では上場会社としてのメリットを生かすことが企業価値の向上につながると考えている」と説明。「客観的に見て具体的かつ実現可能性のある買収提案があった場合には、取締役会として真摯(しんし)に評価・検討する」としている。

原題:Toshiba’s Investor 3D Calls for Strategic Review After CVC Bid(抜粋)

(東芝のコメントを追加して更新します)
    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE