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ホンダ、今期営業益は前期比横ばい6600億円-半導体不足で不透明

更新日時
  • 半導体不足が上期生産に影響も下期ばん回で相殺見込む-倉石副社長
  • 半導体不足はメーカーごとで影響に差、原材料価格高騰も収益重しに

ホンダは14日、今期(2022年3月期)の営業利益が前期比横ばいの6600億円になる見通しだと発表した。

  ブルームバーグが事前に集計したアナリスト17人の予想平均値7613億円を下回った。ホンダの発表資料によると、販売台数の増加や為替、ものづくりの効率化などが増益要因となるものの、原材料価格高騰の影響やクレジット損失引当金の計上などで営業利益は前期並みの水準にとどまる見通し。半導体不足の影響もあるものの、挽回生産などで利益目標を守る計画だという。

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ホンダのEV「Honda e」(3月25日、ロンドン)

Photographer: Jason Alden/Bloomberg

  各国の経済対策などに伴い新型コロナウイルス禍で減少した自動車販売が回復の兆しを見せる中、世界的な半導体不足などサプライチェーン(部品供給網)の混乱により国内外の自動車メーカーで減産の動きが相次いでいる。

  ホンダの倉石誠司副社長は14日のオンライン会見で、「当初は半導体メーカーの増産対応や自社努力でなんとか吸収して今期の事業に大きな影響がないと考えていた」と説明。その後、米国南部を襲った寒波や半導体メーカールネサスエレクトロニクスの工場火災などが重なったため、現時点では「上期中は影響が続くとみている」という。

  倉石氏によると、半導体の供給不足により前期は約10万台の生産に影響を受けた。今期は上期は影響が続くが、下期にばん回することで年度では相殺できると見込んでいるという。

  ホンダは同日、前期(21年3月期)の年間配当金を従来予想から28円増の1株当たり110円としたことも発表。今期の予想年間配当金は同額の110円とした。配当政策を変更して連結配当性向30%を目安に安定的・継続的な配当に努めるとし、これまで四半期ごとに行っていた配当を中間と期末の年2回に変更するという。

ホンダの今期業績見通し
  • 売上高は前期比15%増の15兆2000億円(市場予想14兆5263億円)
  • 営業利益は同横ばいの6600億円(市場予想7613億円)
  • 純利益は同10%減の5900億円(市場予想6570億円)

  コンサルティング会社アリックス・パートナーズの試算によると、半導体不足による世界の自動車メーカーの損失額は計約1100億ドル(12兆円)となり、21年では390万台相当の生産が失われる見通し。

  影響度には差が出ており、トヨタ自動車が今期業績への影響は限定的としたのに対し、日産自動車は約25万台の減産になるとの見通しを示している。ホンダは2月の決算発表時に今期に影響は発生しないとの見通しを示していたが、その後、半導体不足を含めた複合的な要因で北米や日本、タイの工場停止に踏み切った。14日発表の決算資料でも、「現在一部の拠点で生産調整を実施」と記述していた。

(決算の詳細を追加して更新します)
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