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米国株の強気相場はどの局面にあるのか、ウォール街に3つの見方

  • 従来型の景気拡大ではない、非常に多くの不確実性-ハインリン氏
  • 強気相場の起点をどう考えるかで異なる見方、複数の要素で局面判断

米国株の強気相場は序盤にあるのか中盤か、それとも終盤か? 過去が手掛かりだと信じる株式投資家にとってそれは重要な謎だ。

  ウォール街は簡単に聞こえるこんな質問の答えを求めている。もちろん、それは強気相場の起点をどう考えるかによる。金融危機の終息時か、11年後の新型コロナウイルス禍による混乱の収束時か、それとも他のタイミングとするかによって答えは違ってくる。

  大まかに言って3つの考え方がある。長期的視点で考える人々は、昨年の波乱を一時的中断とみなし、ラリーが終わりに近づいていると言う。新たな強気相場とみるなら、過去1年2カ月は強力なラリーの第1弾のスタートと受け止められる。中間的な考え方では、今は新たな段階かもしれないが、ワープスピードで時間が経過しているという説もある。

  USバンク・ウェルス・マネジメントのナショナル投資ストラテジスト、トム・ハインリン氏は「これはサイクルのユニークさに関わる問題だ。今は従来型の景気拡大ではない」と述べ、 「まだ非常に多くの不確実性があるため、さまざまな結果が生じる」と付け加えた。

Wall Street can't agree on where this bull market is during its life span

  興味深い時代に生きていることは間違いない。エコノミストは最も広くフォローされている経済指標の予測に苦戦しており、とりわけ消費者物価指数(CPI)と雇用統計は実績から大きく外れた。また、多くのストラテジストは最も強気なシナリオさえも超えた相場上昇を受け、年末の予想値を急ぎ上方修正している。

米国株の底割れ回避でトップダウン型分析の修正が一役

  そこで相場サイクルのどの局面にいるのかについて、いくつかの見方を以下に示す。

まだ序盤

  投資家の高揚感や記録的な株式発行などあらゆる面から強気相場の成熟が示唆されているものの、シティグループのロバート・バックランド氏らストラテジストは、まだ初期段階にあることを示す1つの要素を強調する。それは企業利益だ。

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  企業利益は世界的に昨年11月、コロナ禍のロックダウン(都市封鎖)の中で底入れした。つまり(この説によれば)利益の観点では、相場は回復サイクルの最初の年にあることを意味する。シティが集計したアナリスト予想では、世界経済の再開に伴い、2021年に企業利益が36%増加すると見込まれている。

  弱気派がここ1年2カ月にわたる株価ラリーにどんな疑問を投げかけようとも、バックランド氏の目には、現在のファンダメンタルズの基盤は無視できないほど堅調だと映る。実際、企業利益が25%超増加しながら相場が下落した年が1976年以降なかったことを同氏のチームは発見した。バックランド氏は13日のリポートで、「景気循環株を中心に相場の短期的な押し目は買いだ」と述べた。

中盤

  モルガン・スタンレーのマイク・ウィルソン氏は、市場は通常よりも早く相場サイクルの中盤に入ったとみており、それに伴い相場のけん引役も代わると指摘する。

  米国株担当チーフストラテジストのウィルソン氏はここ数週間に、経済再開の恩恵を受けた銘柄などの推奨から軸足を移し、金融や素材などリフレトレードと、ヘルスケア部門や通信サービスの一部で見られる合理的価格水準にある成長株を有望視するようを勧めた。

By some measures, S&P 500 valuations already top dot-com era

  一方、ジョン・ハンコック・インベストメント・マネジメントの共同最高投資ストラテジスト、エミリー・ローランド氏は、サイクルの中盤に入り始めたとみており、この段階ではファンダメンタルズと利益成長が一層重要になると指摘する。

  ローランド氏は電話インタビューで「1年が経過し、景気刺激策や金融緩和のピークが過去のことになっていく事実を考え始める必要がある」と指摘。「この強気相場の基本的なサポートはまだここにあるが、2年目と3年目、そしてこのサイクルの中盤に入るにつれて、さらに多くの波乱が生じると考える」と述べた。

終盤

  ストーンXのビンセント・デルアード氏は、S&P500種株価指数の2020年の安値からの回復スピードからみて、相場はまだパンデミック前と同じサイクルにあると結論づける。

  グローバル・マクロストラテジストを務める同氏はブルームバーグのポッドキャスト「What Goes Up」の最近のエピソードで、並外れたバリュエーションでの株式発行が大幅増加している点について「相場の底で見られるものではない」と指摘し、内部関係者による急速な現金化もみられる点にも言及。さらに、新たな強気相場のスタート時には個人投資家の間に多くの不信感が生じる傾向があるが、現時点で間違いなくそうした状況が起きていないと付け加えた。

  資産運用会社トーズのフィル・トーズ最高経営責任者(CEO)も同意見で、利回り上昇が続く見通しは株式相場に難題を突きつけると予想。バリュエーションは一部指標でインターネット株バブル期を超えており、相場の動きを予測する最良の判断材料になる傾向があると述べた。

原題:
Market Cycle on Steroids Leaves Wall Street Guessing What’s Next(抜粋)

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