コンテンツにスキップする
Subscriber Only

米国債利回り、今後の方向性探る市場関係者-ボラティリティーは低下

  • 米国債インプライド・ボラティリティー指標は2月以来の低水準付近
  • 謎解きは6月初めの5月雇用統計発表まで待つ必要との指摘も

米国債相場は1-3月に1980年以来最悪のパフォーマンスとなった後、4-6月は緩やかな回復軌道にある。トレーダーは新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)からの回復が持続可能と判明するか、インフレ圧力の高まりは金融当局が主張するように一時的なものかといった経済に関する重大な疑問に依然振り回されており、現在、利回りは小幅なレンジ内にとどまっている。

  ソシエテ・ジェネラルの米金利戦略責任者スバドラ・ラジャッパ氏とアメリベット・セキュリティーズの米金利責任者グレゴリー・ファラネロ氏は、次の謎解きは6月初めに発表される5月の米雇用統計まで待つ必要がありそうだと指摘。米連邦準備制度は労働市場を注視しており、4月の雇用統計が予想よりかなり弱い内容であったことを踏まえると、5月の統計は特に重要だ。

  米国債市場のインプライド・ボラティリティーの指標となるICE・BofA・MOVE指数は2月以来の低水準付近で、米10年物債利回りはこの1週間、9ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)弱の範囲内と、1月以来の狭いレンジでの取引となっている。今月について見ると、4月の雇用統計の予想外の弱さで1.46%まで下げ、同月の消費者物価指数(CPI)の高い伸びで1.7%まで上昇した。

Treasury-market volatility retreats after first-quarter jump

  ラジャッパ氏は「この種のレンジ取引は、経済の動向について信頼感がある程度のレベルに達するまで続く。インフレに関しては、顧客の多くは既に高水準の状況が年内は続くと見込んでいる」と指摘した。

  当面、注目すべきは雇用統計だろう。金融当局は現在、広範かつ包摂的な目標と呼ぶ「完全雇用」の限界を試すことに重点を置きつつ、インフレ率が2%目標を上回ることを容認しているからだ。このためトレーダーは、当局が超低金利スタンスを離れ始める時期を見極める上で、パンデミックで失われた雇用の回復度合いを検証することが最重要となる。

  19日に公表された米連邦公開市場委員会(FOMC、4月開催分)議事要旨で、一部の当局者は債券購入のテーパリング(段階的縮小)について「いずれかの時点で」協議することを否定しない姿勢が示されると、利回りは一時的に上昇した。ラジャッパ、ファラネロ両氏は共に、10年債利回りが今年、現行の約1.6%を上回る水準で終了すると予想。ラジャッパ氏は年末時点で2%を見込む。

  今週は米金融当局がインフレ指標として重視する個人消費支出(PCE)価格指数が発表される。4月は前年同月比3.5%上昇と、ここ10年余りで最も高い伸びが見込まれている。

  ファラネロ氏は「こうしたインフレ圧力が一時的なものか否か、本当は誰も分からない。金融当局は人々に仕事に戻ってもらいたいが、求人動向といろいろな理由で職場に戻らない人との間の問題を踏まえると難しい課題だ。従って、市場は雇用状況についてより明確に把握する必要がある」と語った。

原題:Bond Traders in Limbo on Yields’ Path With Volatility Slumping(抜粋

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE