コンテンツにスキップする
Subscriber Only

イエレン氏、最近の物価上昇は一過性と指摘-雇用回復には長い道のり

  • 米労働市場がパンデミック前の水準に戻るには時間要する
  • 「大半の国には財政面で余地」-G7財務相会合後に語る

イエレン米財務長官は5日、このところの物価上昇はいずれ収まるとの見通しを示し、米労働市場は改善しつつあるが、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)前の強さを回復するには、まだ道のりは長いとの見解を示した。

  イエレン長官はロンドンで開かれた主要7カ国(G7)財務相会合後の記者会見で、「幾分のインフレを目にしているが、恒久的だとは私は考えていない」と発言。「少なくとも前年比ベースでは、インフレ率の上昇が今年いっぱい続き、3%前後となるかもしれない」と述べた。

  同長官は、当局者が物価上昇を引き続き注視しているとも指摘。「われわれはこれを非常に注意深く見守り、目を離さず、生じた問題に必要なら対処することになる」と語った。

  4月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比で4.2%上昇した。5月の数字は10日に発表される。

米消費者物価指数、前月比で2009年以来の大幅な伸び-予想上回る

  イエレン長官は、「個人的にはこれは一時的な要因によると考えている」と述べ、政策においてはそうした要因を重視し過ぎるべきではないとした。

  今回のG7財務相会合では、税制に関する世界的合意の枠組みで一致。米テクノロジー大手に各国政府が課税する権利の拡大や、法人税率の国際的な下限設定につながる可能性がある。

G7、法人税制巡る改革で一致-IT大手への課税強化に道

  イエレン氏は「一部の国では財政の安定性に関する懸念があり、軌道に戻った後に刺激策を巻き戻すことへの期待が明白になっている」と指摘した上で「大半の国には財政面で余地があると思う」と述べた。

  同長官はさらに、回復が定着しつつあるが、米国ではパンデミックのさなかに職を失い、再就職できていない人がなお多くいると指摘。「このプロセスが1、2カ月で完了すると期待すべきではない」と述べ、来年には米国が完全雇用に戻る可能性があるとの見通しを示した。

米雇用者数の伸びは5月に加速、市場予想には届かず-失業率低下

原題:
Yellen Sees Recent Inflation as Transitory Rather Than Permanent(抜粋)

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE