コロナ禍からの経済回復を議論、東京五輪「成功確信」－Ｇ７首脳会議

主要７カ国（Ｇ７）首脳会議が11日に英南西部コーンウォールで開幕した。３日間の期間中に最優先で討議されるのは、新型コロナウイルスのパンデミック（世界的大流行）から脱け出し、経済回復を実現させる方法を探ることだ。議長国の英国では感染件数が再び増加傾向にある。英国の欧州連合（ＥＵ）離脱に伴う緊張が再燃する兆しにも目を凝らすことになる。

財政投入による経済支援継続

　　首脳会議では、財政投入により経済支援を続ける必要性でおおむね合意に至った。ロイター通信が協議に詳しい関係者の話として名前を明かさずに報じた。関係者によれば、ドイツのメルケル首相を含め全ての首脳がこの方針を支持した。

ドラギ氏の見解を聞く

　　ジョンソン英首相は経済に関する討議に入って間もなく、イタリアのドラギ首相を「欧州債務危機のさなかに一言でユーロを救った」とたたえ、「あなたの見解を披露してほしい」と話を向けた。

　　事情に詳しい関係者によれば、欧州中央銀行（ＥＣＢ）総裁として危機時に指導力を発揮したドラギ氏の発言は、他の首脳らに強い印象を与えた。

「東京大会の成功を確信」

　　共同通信が日本政府の説明として伝えたところによると、菅義偉首相は首脳会議で東京オリンピック・パラリンピック開催の意義を強調。「安全、安心な東京大会の開催に向けて万全な感染対策を講じ、準備を進めていく。世界のトップ選手が最高の競技を繰り広げることを期待する」と述べ、選手団の派遣を各国に求めた。

　　これに対して首脳の１人から「全員の賛意を代表して東京大会の成功を確信している」との発言があったという。

公平な回復を呼び掛け

　　ジョンソン首相は、過去の危機からの脱却時には景気回復がまだら模様になったと指摘。他の首脳らに対し、今回は同じ過ちを繰り返さず、より公平でより環境に配慮した回復を目指すことに照準を合わせるよう訴えた。

ワクチン接種拡大の重要性

　　メルケル独首相は、世界の指導者は自国のことのみを考えているわけではないことを示したいと思っていると発言。新型コロナワクチンについて、特にアフリカ諸国など全ての国・地域の人々が接種の機会を確実に得られるようにしたいと述べた。

　　英国での感染件数は足元で増加傾向にある。英国家統計局が11日公表したデータによれば、イングランドでは４日までの１週間に感染した人が推計560人に１人となった。前週は640人に１人、５月８日までの１週間では1340人に１人だった。

五輪に向けた日本の努力歓迎

　　共同通信やＮＨＫによると、菅義偉首相はこの日、首脳会議の前にジョンソン首相と会談。ジョンソン氏は東京五輪について「成功を確信している」と述べて開催への支持を表明し、安全な大会を実現しようとする日本の努力を歓迎した。

メルケル首相の訪米招請

　　バイデン米大統領は７月、メルケル首相をホワイトハウスに迎える。ロシアとドイツを結ぶ海底ガスパイプライン「ノルドストリーム２」計画を巡る米国とドイツの対立で両国は打開を目指したい考えだ。今回の訪米はメルケル首相にとって退任前最後の国外正式訪問の一つになる。

　　ジョンソン首相は10日にはバイデン大統領と会談。両首脳は、両国間の協力で新たな共通ビジョンを示す共同声明を発表。北アイルランドの平和へのコミットメントの再確認や、世界貿易の拡大に向けて努力することなどが盛り込まれた。

原題：G7 Leaders Broadly Agree to Continue With Fiscal Stimulus: Rtrs（抜粋）、Johnson Defers to Draghi on Economy at First G-7 Summit Session（抜粋）、Johnson Urges Avoiding Errors of Previous Recoveries: G-7 Update（抜粋）、Biden to Host Merkel at White House Amid Spat Over Gas Pipeline（抜粋）