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Photographer: Jeenah Moon/Bloomberg
Cojp

米株式市場の静けさ一変か、18日の「トリプルウィッチング」で波乱も

  • 野村とゴールドマン:「ロングガンマ」でボラティリティー低下
  • トリプルウィッチングと指数のリバランスが重なり売買急増の傾向

米連邦公開市場委員会(FOMC)のタカ派寄りのサプライズに対する米株式市場の楽観的反応にだまされてはいけない。ウォール街の一部ストラテジストは市場に見られた静けさについて、テクニカルな背景を要因に挙げており、18日に状況は一変すると考えている。

  18日は株価指数の先物とオプション、個別株のオプションの取引期限が重なる「トリプルウィッチング」の日に当たる。四半期ごとのこのイベントで特に興味深いのは、S&P500種株価指数などのベンチマークに関連した数兆ドル規模のオプション取引で、その満期が波乱の扉を開くとゴールドマン・サックス・グループやノムラ・セキュリティーズは指摘する。

  こうした力学がどのように機能するかは一般的投資家に理解し難いかもしれない複雑なプロセスだ。しかし、ノムラのクロスアセット・ストラテジスト、チャーリー・マケリゴット氏によれば、ボラティリティーに連動するオプションの売りが「ロング・ガンマ」と呼ばれる状況を生み出しているという。この状況では、通常は原資産の売買でポジションをヘッジする必要があるオプションディーラーが、市場の支配的トレンドに逆行する傾向がある。

  マケリゴット氏は顧客向けリポ-トで、「FOMCのタカ派寄りのガイダンスで株式相場が安定したというのは誤った解釈だ」と述べ、「市場はボラティリティーの売り手によるガンマの過剰供給にあえいでいる」と指摘した。

S&P 500's price swings have narrowed to levels not seen since early 2020

  16日にS&P500種は日中に一時1%下落したが、FOMCの金利予測分布図で従来の想定より早い2023年末までに2回の利上げを当局者が見込んでいることが示唆されたのを受け、結局下げ幅を半分に縮小した。金融引き締めサイクルの前倒し観測でも株式相場はあまり困らないと結論づけたくなるところだが、市場は既に不気味に落ち着いた状態が続いていたことは注目に値する。

  20日間のボラティリティーでみると、S&P500種の価格変動は、20年初め以来見られなかった水準まで低下している。ノムラのマケリゴット氏と同様、ゴールドマンのロッキー・フィッシュマン氏らストラテジストもロング・ガンマのポジションが市場の落ち着きの要因だとみる。ゴールドマンの試算では2兆ドル(約220兆円)余りのS&P500種のオプションと先物が18日に取引満了日を迎える。

  S&P500種は17日、一時前日比0.7%下落した後、ほぼ変わらずで終了。

  トリプルウィッチングは通常、S&P500種などのベンチマークのリバランシングと重なり、1日の出来高はその年で屈指の水準に達する。S&Pのシニア指数アナリスト、ハワード・シルバーブラット氏の試算によると、同指数のリバランスだけで300億ドル相当の株取引が必要になる可能性があるという。

原題:
Stock-Market Doldrums Face Shake-Up With Friday’s ‘Witching’ (1)(抜粋)

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