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ウォール街の銀行、中国での業績さえず-多額の投資や人材採用でも

  • 世界的な投資銀の昨年の中国事業は合わせて約3億800万元の赤字
  • 上向く兆しも国内勢に見劣り-出資規制の緩和は利益増につながらず

ウォール街の企業は中国で大きくもうける方法をまだ見つけていないようだ。

  金融市場の開放が進み、新たな人材の採用や多額の投資にもかかわらず、JPモルガン・チェースなど世界的な投資銀行の昨年の中国事業は合わせて約3億800万元(約52億4500万円)の赤字だった。3社が中国の合弁会社で小幅の黒字を確保したが、3社は損失を計上。対照的に中国の投資銀行は活発な合併・買収(M&A)の波に乗り、届け出に基づくと計244億ドル(約2兆6830億円)の利益を得た。

  収入が増えつつあり、幾つかの銀行は数年間の赤字から脱するなど傾向としては期待を持てるが、昨年のさえない数字はウォール街企業が中国で大きな利益を上げるにはさらなる時間と人材、より大きな投資が必要になることを示唆している。

  香港の証券会社、中泰国際の調査副責任者である趙紅梅氏は「中国は世界の銀行にとっておろそかにできない戦略的な市場だが、そこでかなり利益を得られるかどうかは別の話だ」と指摘。国内証券会社の上位数社が支配している「市場でウェルスマネジメント、投資銀行部門のいずれも顧客を獲得するのは厳しい」と述べた。

  中国の金融サービス市場の規模は54兆ドルと、投資銀行大手にとってこれに勝る機会はない。中国政府は、外資系企業が国内証券会社との合弁会社について完全な支配権を確保できるよう段階的に規制緩和を進め、独自の資産運用会社を設立することも認めた。

金融市場の開放が進み、新たな人材の採用や多額の投資にもかかわらず、ウォール街の企業は中国で存在感を高めるのに苦戦している

Daybreak: Asia.” (Source: Bloomberg)

  外国勢の参入は加速しており、米国勢だけでも昨年、中国へのエクスポージャーを778億ドルに拡大し、多くの人材を雇っている。外資出資の上限が2020年4月に撤廃された後、多くの企業が国内証券会社との合弁会社について全株を取得する方針を表明している。

  ただ、支配権の確保は利益増につながっていないことが多く、中信証券や海通証券など国内勢と比べると存在感は依然として小さい。中国の外資系合弁ではUBSのものが最大だが、中国証券業協会のデータによると、中国の証券会社120社余りの中で資産ベースで89位にとどまっている。

原題:Wall Street Banks Struggle to Cash In on China Hiring Binge (1)(抜粋)

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