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防衛費、GDP1%の上限は考えていない-岸防衛相一問一答

岸信夫防衛相は、24日のブルームバーグとのインタビューで、防衛力強化や日米同盟、中国の軍事動向、台湾を巡る問題などについて語った。一問一答は以下の通り。

インタビュー記事はこちらをご覧ください。

-防衛力強化と対国内総生産(GDP)1%枠について

「わが国を取り巻く安全保障環境は現在、厳しさ、不確実性が増している。自らを守り抜くという体制を主体的、自主的な努力によって抜本的に強化していかないといけない」

「GDPと機械的に結び付けるようなことは適切ではない。2022年度も自衛隊の活用や防衛力整備を着実に推進していくという観点から、必要な経費をしっかり確保していく。1987年度以降、GDPの1%というようなキャップ(上限)を考えているわけではない」

-在日米軍駐留経費負担(思いやり予算)について

「在日米軍駐留経費は、在日米軍の円滑かつ効果的な活動を確保するために重要な役割を果たしている。政府として一層厳しさを増す安全保障環境の中で、わが国の厳しい財政状況を踏まえながら適切に対応していきたい」

Japan's Defense Minister Nobuo Kishi Interview

岸信夫防衛相

-中国の軍事動向と尖閣諸島周辺での活動について

「海警局の船舶が尖閣諸島周辺の領海に侵入を繰り返している。現状変更の試みは断じて許されるものではない。太平洋や日本海においても軍事活動を活発化、拡大化させている。今後ともその傾向が継続していくと考えている」

「海警法はあいまいな適用海域、武器使用権限、国際法との整合性との観点から問題がある規定を含んでいる。わが国を含む関係国の正当な権益が失われるような、害されるようなことがあってはならない」

「急速な作戦遂行能力の強化や活動の拡大化が、国防政策や軍事力に関する不透明性ともあいまってわが国を含む地域や国際社会の安全保障上の強い懸念となっている。今後とも強い関心を持って、注視したい」

-台湾について

「台湾を巡る問題は当事者間の平和的な対話によって解決されることを期待している。日米は台湾海峡の平和と安定が重要であるということで一致しており、引き続き推移を注視する」

「台湾は日本の最西端の島である与那国島からは110キロしかない。大変近いところにある島だ。台湾における平和と安定というものが日本に直結をしていると考えている。そうした観点から中台関係、中国の軍事活動についてわれわれも注視している」

-台湾有事を想定した日米共同訓練、ガイドライン見直しについて

「仮定の問題にコメントすることは控えたい。日米の間では平素からさまざまな課題について常に意見交換を行っており、しっかり適切な対応ができると考えている」

「今の時点でガイドラインの改正について私からコメントすることは差し控える」

日本の防衛関係費の推移

出所:防衛白書、財務省発表資料(いずれも当初予算)

-イージスシステム搭載艦について

「既存のイージス艦と組み合わせて運用することにより、情勢に応じて常時、持続的なわが国全域を防護し得る体制を構築することは可能だ。昨年12月の閣議決定に従って必要な措置を講じたい」

-日米豪印の連携枠組み「クアッド」について

「4カ国はルールに基づく自由で開かれた国際秩序を強化していくという目標を共有している。防衛当局間で緊密に連携していくことは極めて重要だ。具体的な取り組みをさらに進めたい」

「クアッドの取り組みは特定の国を対象としたものではない」

-防衛装備品の輸出がうまく進んでいない状況について

「まだ十分な体制が整っていなかったところもある。効果的に進めていくために、相手国の状況をしっかり踏まえつつ官民が協力して情報の収集や発信を行っていかなければいけない。案件形成をよりきめ細かく行うことが重要だ。さまざまな取り組みを通じて防衛装備品・技術移転の協力を推進していく」

-英空母の日本寄港

「本当に画期的なことであり、大変歓迎している。英国とのさまざまな防衛協力をさらに進めていくいい機会にしていきたい。欧州諸国がインド太平洋に関心を持っていただく、プレゼンスを発揮していただく、このことは地域の平和と安定につながるものだ」

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