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Photographer: Michael Nagle/Bloomberg
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米企業の自社株買いが加速へ、大手銀の資本還元拡大で過去最高更新も

  • モルガン・スタンレーやウェルズ・ファーゴは自社株買いを強化
  • コロナ禍で落ち込んだ後1-3月期に急増、株強気派に好材料か

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株価の高いバリュエーションを見て立ち止まる投資家もいるかもしれないが、米企業による自社株買いの動きは止まっていない。

  モルガン・スタンレーウェルズ・ファーゴなど米大手銀行は先週、米連邦準備制度理事会(FRB)のストレステストをやすやすと通過した後、自社株買いの拡大と増配の方針を示した。

  米企業の自社株買いは2020年に新型コロナウイルス禍で落ち込んだ後に増加に転じ、今年1-3月(第1四半期)に急増した。自社株買いは株価押し上げの直接的方法であるだけに株式相場には朗報で、企業はコロナ禍からの景気回復で手元資金が潤沢にある。

  ホライゾン・インベストメンツのスコット・ラドナー最高投資責任者(CIO)は「自社株買い戻しは過去最高を更新するとわれわれは考えている」と述べた。

  ブルームバーグの集計データによると、S&P500種株価指数構成企業は21年1-3月期に計1715億ドル(約19兆円)を自社株買いに投じた。新型コロナのパンデミック(世界的大流行)前の水準を依然として下回るものの、20年10-12月期の1200億ドル強に比べて大幅な増加だ。

Buybacks on the Rise

Source: Bloomberg Intelligence

  これまでのところ、テクノロジー企業が自社株買いを主導。1-3月期はアップルなどIT(情報技術)セクターが自社株買いの約3分の1を占めた。今後は、金融危機から10年以上が経過し、金利上昇で利益を得る立場にある銀行が自社株買いを強化する。

  モルガン・スタンレーは増配のほか、向こう1年で自社株買いに最大120億ドルを投じる計画だ。株式相場の強気派にとってモルガン・スタンレーの資本還元の発表は好都合なタイミングだ。4-6月(第2四半期)に8%上昇したS&P500種は企業収益の頭打ち懸念や高い株価収益率(PER)、新型コロナウイルスの変異株によるリスクなどで上昇ペースが鈍化している。

  S&P500種は高値更新を続けているものの、勢いは緩慢で1%超の上昇を記録したのは過去1カ月で1日しかない。PERは実績ベースで31倍に近づいており、過去10年の平均の19倍をはるかに上回っている。

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原題:
Corporate Buybacks Gain Steam With Banks Poised to Boost Buying(抜粋)

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